「楽天2.0」はユーザー発信型、三木谷社長がWeb 2.0戦略を説明
2006/8/19
楽天の代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏は8月18日、2006年6月中間連結決算の会見で楽天グループのWeb 2.0対応について「基本は発信されたトランザクションを取り込むことだ」と話し、楽天市場の購入者レビューなどユーザー発信型のコンテンツを拡充することで、ユーザーの新たな購入行動につなげる考えを示した。いわば「楽天2.0」ともいえる新しい展開で、「ユーザーと楽天のWin-Winの関係構築」(楽天)を目指す。
楽天の代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏 |
三木谷氏は「Web 2.0という言葉を使うか迷った」としながらも、「Web 2.0では、マスによる広告だけでなく、ユーザーがほかの人の意見を聞いて商品を購入することがどんどん起きている」と説明。そのうえで、ユーザーが商品を評価する楽天市場の「みんなのお買い物レビュー」が641万件に達することや、宿泊施設をレビューする楽天トラベルの「お客さまの声」が107万件あることを挙げて、「実は楽天グループは1500万件以上のユーザー発信型コンテンツを蓄積、日本最大規模」と説明した。
三木谷氏は「みんなのお買い物レビュー」とブログサービスの「楽天広場ブログ」のアフィリエイトが広がっていることも説明。「楽天グループのユーザー発信型コンテンツをさらに増やして、ユーザーの購入によりつながるようにする」と話した。今秋には「みんなのお買い物レビュー」の刷新も計画している。
楽天の2006年6月中間連結決算は、経常利益が前年同期比81.8%増の208億円だった。買収などにより売上高は約3倍の1053億円に増加。営業利益は77.7%増の192億円だった。新規事業の先行投資などで当期純利益は37.1%増の71億円にとどまった。
楽天は楽天市場を起点に、トラベルや証券、ポータル、クレジットカードなどグループで展開する各サービスにユーザーを誘導するクロスセル戦略を打ち出している。三木谷氏は、東京都民銀行と提携し、来春に開設する予定の都民銀行のネット支店「楽天銀行」が、「今後のキーになる」と話した。「ソフトバンググループからSBIホールディングスが離れたことを考えるとインターネット総合財閥企業は楽天しか残っていない」とも話し、グループの総合力を強調した。
三木谷氏はまた、グループの人員増に対応するため、東京・東品川の23階建てビルを新たに借り切り、都内に複数に分かれている事業所を統合する考えを示した。六本木ヒルズの本社は残す計画だが、社内向けビジネススクールの「楽天ビジネスインスティテュート」や技術スクールの「楽天テクノロジーインスティテュート」、研究開発施設の「楽天技術研究所」を新オフィスに設ける計画で、生産性向上やグループ内のシナジー効果向上を狙う。新オフィスビルの名称は「楽天タワー」。
(@IT 垣内郁栄)
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