当社の強みは常に次の一手を打っているところ〜小野寺社長

au、ワンセグとデジタルラジオが視聴できる端末発売

2006/11/16

 KDDIは11月16日、携帯電話で初めてデジタルラジオ放送に対応する新機種「W44S」を12月上旬に発売し、対応サービスを開始すると発表した。また、同社の音楽サービス「LISMO」において、音楽ビデオがダウンロードできる新サービス「ビデオクリップ」を開始すると発表した。

W44S ソニー・エリクソン製の対応端末「W44S」。横方向に開くことで、3インチ液晶をフルに使ったワイドな映像を楽しむことができる

 デジタルラジオ放送とは、CD並みの高音質と放送波を利用した大容量データ放送が可能な音声放送で、デジタルラジオ推進協会(DRP)が2003年10月より東京と大阪地区で実用化試験放送を開始している。デジタルラジオ放送8セグメント中3セグメントの帯域を利用できるTOKYO FMは、東京地区でデジタルラジオ放送の出力が800ワットから2.4キロワットに増力するほか、auから対応携帯電話が出荷されることから、12月1日より「3セグメントデジタル放送」を本格的に開始することを決めた。

 KDDIは、TOKYO FMが12月1日にデジタルラジオ放送を本格開始するのにあわせて、ソニー・エリクソン製の対応端末「W44S」を12月上旬に発売する。また、音楽サービス「LISMO」をバージョンアップし、音楽ビデオがダウンロードできる「ビデオクリップ」の提供を開始する。

 W44Sは第3世代携帯電話「CDMA 1X WIN」対応端末で、携帯電話で初めてデジタルラジオ放送に対応した。最大の特徴は、従来の縦方向の開閉に加えて、横方向の開閉もできる新機軸「デュアルオープンスタイル」を採用した点だ。これにより、縦方向でも横方向でも映像を楽しむことができる。そのほか、3インチワイド液晶にソニーの液晶テレビ「BRAVIA」のエンジンや、圧縮で失われた成分を取り戻す信号処理「DBEX」を採用するなど、画質や音質にこだわっている。そのほか、ワンセグやEZチャンネルプラスなどにも対応する。

 KDDI 執行役員コンテンツ・メディア事業本部長 高橋誠氏は、「デジタルラジオ放送では、従来の音声だけではなく、映像やデータ放送にも対応している点が特徴だ。従って、放送中の生映像を見たり、放送中の楽曲を聞きながらダウンロードすることもできる。ダウンロードした楽曲は別途、通信でライセンスを取得して暗号化を解除して視聴する仕組みだ。W44Sはワンセグ、デジタルラジオ、EZチャンネルプラスの3種類のメディアをシームレスに楽しむことができるようになった」とアピールした。

W44S 縦方向に開いたところ

 LISMOで新しく開始する「ビデオクリップ」は、着うたフルのフォーマットを拡張し、映像フォーマットで「H.264」に対応したほか、QVGAサイズで再生できる映像配信サービス。PCで利用する「au Music Port」においてバックアップや再生ができるほか、携帯電話で着うたとして着信音に設定することも可能だ。あわせて、au Music Portをバージョン3.0にバージョンアップ。ユーザーインターフェイスを改善したほか、AACやWMA、WAVなどのインポートにも対応した。

 KDDI 代表取締役社長兼会長 小野寺正氏は、「MNPはおかげさまで好調だ。将来的には、ワンセグとデジタルラジオの両方を搭載する機種が増えるだろう。おそらく、他社も追随してくると思うが、それは歓迎だ。それでなくては、デジタルラジオの真の発展にはつながらないだろう。当社の強みは、音楽や映像など、常に他社に先駆けて“次の一手”を打ってきたところにある」とコメント。ソフトバンクが携帯電話端末の奨励金廃止の方向に向かっている点に対しては、「ワンセグやデジタルラジオなど、新技術をけん引しているのは間違いなく携帯電話だ。その携帯電話端末が5万円も6万円もするようになったら、多くのユーザーは気軽に機種変更できなくなるだろう。そのようになったら、新サービスの普及が遅くなってしまうという点も考慮しなくてはならない」と語り、暗に奨励金廃止論を否定した。

EXILE 新たなボーカルが加入し第二章に突入したEXILEと小野寺社長(中央)。新加入のボーカル「TAKAHIRO」氏は左から2人目

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(@IT 大津心)

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