mixiやGREEにYahoo! IDでログインできたら……
Yahoo!のすべてのサービスにCGMの要素を取り入れたい〜井上社長
2006/11/17
ヤフーは11月17日、報道関係者向けに役員懇談会を開催し、同社 代表取締役社長 井上雅博氏などが同社の動向を説明した。
ジャスダックへの重複上場は株主の不安を払拭(ふっしょく)するため
井上氏は直近発表した話として、現在上場している東証1部に加えてジャスダックへの上場を検討している点に触れた。この問題は、東証の上場廃止基準である「少数特定者持株数比率が75%を超えている場合」について、ヤフーの大株主であるソフトバンクが持ち株比率41.10%、米ヤフーが同33.43%の計74.53%となっており、基準の75%ギリギリであるというもの。
「もし、当社株の敵対的買収が行われて1%程度の株を取得されたとすると、この75%に抵触し、上場廃止になる危険性もないとはいえない」(井上氏)という危険をはらんでいるため、「当社株の売買ができないというリスクを回避するために、75%基準のないジャスダックへの上場を決めた。審査があるが、それが通れば今年度中に上場したい」とコメントした。
CSC導入の結果は「思っていたよりもデコボコ」、PVは導入前よりも増えた
また、10月1日より広告の新しい計測方式として「CSC(Client Side Counting)」を採用した点については、「まだ、始めて1カ月程度だが、結果は思っていたよりもデコボコだった。予想よりもロボットが多かった部分もあるし、そうでないとろこもあった。結果的にPV(ページビュー)は、導入以前よりも多少増えた」(井上氏)と説明した。
CSCとは、広告が実際にユーザーのWebブラウザに表示された回数を数える方法で、米国オンライン広告団体IAB(Interactive Advertising Bureau)が提唱している計測方式でもある。従来のWebサーバが配信した広告配信数を数える方式では、ロボットやツールによる影響を強く受けたが、CSCではこの影響が少ないという。ヤフーではCSC導入以前は人間が手動でロボットなどを登録し、できる限り排除してきたが、CSCにより一層正確な測定が可能になったとした。
Yahoo!のすべてのサービスにCGMを取り入れていきたい
次にCGM(Consumer Generated Media)について言及。ヤフーはSNS「Yahoo! Days」を7月31日より開始し、Yahoo!プレミアム会員やYahoo! BB会員は招待がなくても登録できるようになっている。
この点について井上氏は、「そもそも、招待制のクローズドSNSがいいのか、オープンSNSがいいのか、という議論もある。mixiのように600万人の会員がいたら、もはやクローズドでないという見方もできる。ヤフーは、Yahoo! Daysだけでなく、すべてのサービスにCGMを入れたいと思っている。その情報を集約し、“見る場”としてYahoo! Daysを位置付けてもいいかもしれない」と語った。
また、ソフトバンクグループが11月7日からMySpaceの日本語版を開始した点については、「MySpaceとは競合する部分もあるし、しない部分もある。SNSもいろいろな形があり得るはずだ。例えば、MySpaceは有名人を中心としたファンサイトのような傾向がある。一方、mixiは友達同士の日記を見る友達関係が中心だ。このように複数のSNSが共存する可能性は十分にある」とコメント。他社サービスとの連携については、Yahoo! IDと、mixiやGREEのIDを連携させてログインできるサービスを「始めたいとは思うが、先方次第。Yahoo!をライバルとしてではなく、プラットフォームとして考えてくれれば実現できるかもしれない」と語った。
楽天のオークション参入は歓迎〜ライバルがいないと市場が広がらない
楽天が11月13日に匿名エスクローに対応した「楽天オークション」を開始した点については、「大いに歓迎だ。ライバルがいない状況では、市場が頭打ちになってしまう。ただし、匿名エスクローに関しては問題も多いと認識している」と強気のコメントをした。
匿名エスクローサービスについては、ヤフーも数年前から検討していたが、「物流面で“宅配事業者は送付元と送付先の連絡先を知っていなければならない”という法律が存在し、これが問題になっている。法的な問題がクリアになれば当社も取り入れたいが、現行法では難しいと当社は判断した。『どのレベルで身元を担保するのか?』という問題ももっと検討しなければならない」と説明した。
携帯公式サイトの課金モデルは一度捨てないとダメ!?
携帯電話向けコンテンツでは、ソフトバンクモバイルと協力して「Yahoo!ケータイ」を開始したヤフーだが、いままでもiモードやEZweb向けに「Yahoo!モバイル」を提供してきた。この違いについて、「携帯キャリアから見て、Yahoo!のサービス全般はキャリアの決めたルールや条件を守っていない勝手サイトという位置付けになっている。ソフトバンクモバイルとの連携では、その制限を外してヤフーが携帯電話向けサービスを作っていくとどうなるかをYahoo!ケータイでは見せていきたい」と説明した。
従来からある公式コンテンツについては、「ユーザーの選択肢が多い方がいいので反対するつもりはない。ただし、公式コンテンツの条件を守っているようなサービスでは、最終的にユーザーに支持されなくなるだろう。ヤフーのサービスのように、多くの人間がいろいろなアイデアを出してよりよくしていくことが重要だ。従来の公式コンテンツ向け課金モデルは一度捨てるしかない。当面は広告モデルでやっていき、あらためて新しい形の課金モデルが出てきて成功する可能性はある」と厳しいコメントをした。
最後に同社のPVについて、「PVというものは、増やそうと思って増やせるものではない。小手先のワザを使って一時的に増やすことができることはできるかもしれないが、長期的には“ユーザーの満足度の向上”こそがPVの向上につながると考えている。その視点で今後もYahoo!のサービスを充実させていきたい」と述べた。
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