“コンプライアンスブーム”が追い風

中堅向けERP市場は2年連続で2桁成長の見込み

2006/11/27

 IT関連の調査・コンサルティング業務を行うノーク・リサーチは11月27日、2006年度の中堅・中小企業向けEPR市場の実態調査レポートを発表した。ERPベンダ26社に対して聞き取りで行った同調査によれば、2006年度の中堅・中小企業向けERP市場は対前年度比13.5%の伸びで670億円となり、2年連続の2桁成長となった。また、今後も同市場は成長を続け、2010年度までに1000億円を超えるとレポートは予測している。

 大手企業向けも含むEPR市場全体で見ても、2005年度は対前年度比8.1%の伸びで1064億円、2006年度は8.5%増の1154億円に達する見込みと同市場は拡大しているが、大企業向け市場は飽和感が強く、ERP市場を牽引しているのは中堅・中小企業向けだ。大手向けERP市場だけで見れば2005年度の対前年度比伸びは約0.1%、2006年度の対前年度比の見込みは約6%増と比較的低い水準に留まっている。

 中堅・中小企業向け市場の伸びの要因としてレポートでは「景気回復感による投資意欲増進、老朽化した基幹システムのリプレース、内部統制やSOX法など“コンプライアンスブーム”が追い風となった」と分析している。

 ベンダ別の市場シェアを見ると、昨年に引き続き3年連続で富士通の「GLOVIA-C」が16.1%でトップ。大塚商会の「SMILE α AD」が13.3%で2位、住商情報システムの「ProActive」が8.5%で3位となり、シェア上位の顔ぶれは変わらないが、他ベンダの追い上げにより今後は混戦が予想される。

 特に、過熱気味の中堅企業向けEPRベンダの集中展開による棲み分けが進んでおり、ベンダごとに得意市場が明確になってきている。例えば、年商50億円未満の中小企業市場では大塚商会の「SMILE α AD」が38.5%と際立ったシェアを持っている。規模別市場の棲み分けに加え、業種やモジュール別という棲み分けを積極的展開するニッチ戦略も進むなど、今後も市場動向が続く模様だ。

 販売シェア上位のベンダは、どこも自社またはグループ会社による強力な販売網を持つが、そうした基盤を持たないSAPジャパン、日本オラクルといった外資系ベンダは苦戦している。いずれ大企業向け市場と同様に飽和が始まると見られる中堅・中小企業向けERP市場を巡って、ますますシェア争奪戦は加熱しそうだ。

(@IT 西村賢)

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