新製品を相次ぎ国内投入へ
「Excel 2007」を起爆剤に、巨人マイクロソフトがBI市場に本格参入
2006/11/27
マイクロソフトは2007年初頭にも「SQL Server 2005」のデータマイニング・アルゴリズムを使って「Excel 2007」「Visio 2007」のデータを直接分析できるようにする「Data Mining Add-in for Office system」の無償提供を開始する。Excel、Visioといったエンドユーザーにとって一般的なツールを使って、SQL Serverの高度なビジネス・インテリジェンス(BI)機能を活用できるツールで、マイクロソフトのBI本格参入の切り込み役とする。2007年第3四半期にはハイエンドBI製品「Office PerformancePoint Server 2007」を国内投入する予定。BI市場での拡大を狙う。
各BIベンダにとって最大の課題はエンドユーザー層の拡大。企業の経営企画室やアナリストなど一部に限られたBIユーザーの裾野を、一般ユーザーに拡大することが各社の課題だ。マイクロソフトは定番フロントエンドツールの「Excel」を持つという大きなアドバンテージがあり、BIのエンドユーザー拡大でもExcel連携を打ち出す。「フロントエンドをあまり重厚にするとエンドユーザーが使いにくくなる。BIサーバとフロントエンドの間にOffice SharePoint Server 2007を挟み、フロントエンドのリスクをカバーしながら柔軟性を確保するのがマイクロソフトの戦略だ」(マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ シニアプロダクトマネージャ 米野宏明氏)
Office 2007は扱える行が100万行以上に拡張。数値の傾向を分析してテーブルにカラーやアイコンを付ける可視化の機能もあり、BIの基本的な役割を果たす。従来のバージョンと同様に、SQL Server 2005に接続してピボットテーブルを作成できる機能もある。さらにSharePoint Server 2007の「Excel Services」機能を使って、SharePoint Serverのポータル上にスプレッドシートと連動する動的なHTMLを出力することもできる。「大多数のユーザーである現場層に対してアピールする」(米野氏)
米野氏は「現場層で求められるのは、いかにスピードを高めて必要な情報をざっくりと簡単に得るかということ」と分析する。SharePoint Server 2007は検索機能を強化し、必要なデータや過去に作成されたデータを簡単に探せるようにした。「SharePoint Server 2007はコンテンツ管理がベースだが、BIの機能が生きている」(米野氏)といい、マイクロソフトのBI関連製品の中核に据える。
Data Mining Add-in for Office systemは、SQL Server 2005のデータマイニング・アルゴリズムを使ってExcel 2007、Visio 2007上のデータを分析できるツール。SQL Server 2005のデータマイニング・アルゴリズムは通常、サーバの管理コンソールを立ち上げる必要があったが、Data Mining Add-inを使えばExcel、Visioで予測や相関分析、傾向分析、データクレンジングなどの高度なBI機能を利用できる。米野氏は「データマイニングのほぼすべての機能を備える」と語る。
Office PerformancePoint Server 2007は会計系データの処理に強みを持つBIエンジン。SQL Serverの多次元分析データを基に、予算編成や予測などのビジネスプランニング、スコアカードによる業績管理、分析が可能。企業の個別ルールに柔軟に対応できるなど、日本企業での利用にも適するとマイクロソフトは説明する。Excel、SharePoint Serverと連携して使う。米野氏は「企業パフォーマンス管理(CPM)のためのツール」と話し、競合するハイエンドBI製品として「Hyperion」を挙げた。
マイクロソフトはExcelとSharePoint Serverの活用を中心としたBI活用の専門Webサイトを9月に開設し、「BI宣言」を打ち出した。11月15日には、SharePoint Server、Business Scorecard Manager 2005、SQL ServerがインストールされたBI環境を試用できるコーナーを開設し、ユーザー別の利用シーンを提案。2007年4月にはBIの大規模なイベントも予定するなど製品の育成に力を入れる。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|