次世代帳票エンジンを開発し、データ入力だけで帳票出力が可能に
“帳票のSaaS化”を目指すウイングアーク
2006/11/30
ウイングアーク テクノロジーズは11月30日、帳票開発におけるアフターケア事業や開発支援などサービス事業を開始し、その一環として帳票開発支援総合サイト「帳票匠屋」を12月1日より開始すると発表した。
ウイングアークは、同社が提供するビジネスの目指すべき姿として「帳票SOA」「製品」「サービス」の3点を挙げた。帳票SOAは、従来業務システムごとに構築していた複数の帳票ツールを共通化することを目的とした戦略で、開発・運用コストの削減や出力履歴の一元化による内部統制強化などがメリットに挙げられる。製品面では、帳票開発ツール「SVFX-Designer」や「SVFX Connect SUITE」「Report Director Enterprise」などが帳票SOAを実現する製品としてすでに登場している。
このように、「3つの柱のうち、帳票SOA、製品については整いつつある。しかし、サービスはまだだった。顧客の中には『製品を売りっぱなしでサポートなしか』や『顧客の声を吸い上げる仕組みがないではないか』といった厳しい声も聞こえていた。これらのことから、サービスに関する新しい取り組みを開始することになった」(ウイングアーク SVF事業部 事業部長 森脇匡紀氏)と、サービス事業開始の背景を説明した。
顧客へのアフターサービス強化のために導入する「帳票匠屋」
新たに開始するサービスビジネスである「帳票匠屋」とは、現在行っているサービス事業をさらに強化し、一層顧客の声に応えていくというもの。例えば、WARP(WingArc Technologies Relationship Program)パートナーを現在の30社から来年度には100社程度まで増やす。また、「当社は帳票ベンダであるため、システムインテグレーションのノウハウは少ない。その点をパートナー企業に補っていただき、当社製品とパートナー企業のシステムインテグレーションノウハウを一層強く組み合わせて提供していく」(森脇氏)という。
12月1日に開始するWebサイト「帳票匠屋」では、ユーザーの要望を自由に書きこみ、それに応えられるパートナー企業を募る「縁結びサービス」や、顧客のみならず、パートナーに対するアフターケア強化を狙う。具体的には、「現在の製品構成では、帳票をちょっとだけカスタマイズしたい場合でもSVFX-Designerなどの購入が必要だ。それでは投資効果が低い。そのようなちょっとしたカスタマイズを行いたい場合に、Webサイト上で申し込んで当社内のプロが作るカスタマイズサービスを用意した。これであれば、1帳票単位のカスタマイズも容易に申し込めるはずだ」(森脇氏)といったニーズに応える。
また、レガシーマイグレーションを実施する際に発生する「一覧形式の管理帳票や企業内レポート」など、“わざわざ帳票設計する必要がないような帳票”への移行サービスに対する需要も多いという。このようなデザイン性を重視しない定型的な帳票や、税務帳票など全国すべての企業において共通する帳票をテンプレート化して提供することも検討中だ。「テンプレートの提供や帳票開発の請負サービスによって、現在当社が食い込めていない中小企業市場へ参入していきたい」(森脇氏)と抱負を語った。
帳票の「SaaS化」を目指し、Salesforce.comなどとの連携も視野に
さらにウイングアークは「帳票匠屋」において、帳票のSaaS/ASP化も目指す。具体的には、帳票匠屋のWebサイト上に「次世代帳票エンジン」を搭載し、印刷対象のデータをこのエンジンに読み込ませるだけで、エンジンが自動的にデザインなどを処理し、見た目の美しい帳票が自動的に出力されるという仕組みだ。
通常の帳票出力であれば、データを入力する前にアウトプットを詳細に設計し、出力後の状態をデザインしたうえでデータを入力して帳票を出力していた。しかし、この次世代帳票エンジンでは、同社が17年以上かけて培ってきたノウハウを利用し、自動改行や自動改ページ、フォントの自動縮小などを実施。見た目が美しい帳票をWeb上で実現できるという。
このSaaSサービスは2007年2月から開始し、「2007年の夏から秋くらいには大量出力にも対応できるようになる予定だ。値段は未定で顧客の要望を聞きながら決めていきたい。大量に利用する顧客の場合には月額固定もあり得るだろう。Salesforce.comなど先行するSaaSサービスとの連携も考えている」(同社 SVF事業部 帳票匠屋推進室 岩本幸男氏)と説明した。
ウイングアーク 代表取締役社長 内野弘幸氏は、「いままではSVFという製品に注力してきた。しかし、今後はサービス化の流れが強くなっていく。今回開始する帳票匠屋はその第一歩となる」と抱負を語った。
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