英国では9割にアップ、日本では5割にダウン

なぜ日本でだけBluetoothの認知度は低いのか

2006/12/08

bluetooth01.jpg 12月8日、都内で会見したBluetooth SIG エグゼクティブ・ディレクター マイケル・フォーリー氏(Michael Foley)

 11月初旬、全世界でのBluetooth搭載機器の累計出荷台数が10億台を超えた。Bluetooth搭載機器は毎週1200万台のペースで出荷台数を伸ばしている。Bluetooth SIGのエグゼクティブ・ディレクター マイケル・フォーリー氏は「2010年までに20億台出荷を目指す」という。1998年に同技術の標準化と認定を行う業界団体、Bluetooth SIGが立ち上がってから10億台を突破するのに8年かかっているが、今度は4年という短期間でさらに10億台積み上げるという野心的な目標値だ。

 互換性のトラブルやOSサポートの欠落、キラーアプリケーションの不在といった要因で長らく存在感のなかったBluetoothだが、ここ数年は出荷台数も認知度も大きく伸びている。2005年には対前年比61%増となる3億2800万台の出荷。出荷増につれて認知度もアップ。例えばイギリスでは、2003年に50%程度だった一般消費者の「Bluetooth」という言葉の認知度が、2006年には90%に迫るところまで伸びている。米国でも同様に2003年に20%強だった認知度は60%弱にまで3倍近くに跳ね上がっている。

 ところが、日本でだけBluetoothの認知度が下がっている。

 2004年に40%強で2005年に60%を超えた認知度が、2006年に50%前後に落ちている。今年から調査を始めた台湾で80%となるなど、アジア地域で高い普及率をうかがわせる認知度となっているのに、日本だけが世界的なトレンドに逆行している。

 理由の1つは、Bluetooth対応の携帯電話とヘッドセットの普及度の違いにあるという。

 日本人は耳掛け式ヘッドセットをつけて携帯電話で通話をしないが、欧米では普及が進んでいる。もともと欧米ではBluetooth普及以前から胸に忍ばせた携帯電話にワイヤードのイヤホンマイクを付け、街を闊歩しながら手ぶらで通話するという姿が見られたが、日本では文化的な問題か、そうした使い方をする人がきわめて少ない。

 欧米でBluetooth普及のキラーアプリケーションとなった携帯電話の通話の無線化が、日本では起こっていないことが、普及や認知度の差になって現れている。日本でのBluetooth本格普及の成否は、広く使われるプロファイルをヘッドセット以外にも世に出せるかどうかがカギとなりそうだ。

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(@IT 西村賢)

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