ビル設備管理の2強プロトコルの相互接続が実現
日本のビル管理をオフショアで中国人が!?
2006/12/22
空調、照明、監視カメラなどビル内設備をXML/SOAPを用いた標準プロトコルで遠隔地から一元的に監視・制御する技術的なめどが付いた。家電、通信、ビル管理、建設など大手約30企業で作る業界団体、ファシリティ・ネットワーキング相互接続コンソーシアムは12月22日、ビル設備管理分野で業界を二分しているプロトコル「BACnet」と「LonWorks」の相互接続性を検証するためのラボを、慶応技術大学の新川崎キャンパス内に設置。これまでベンダごとに仕様や実装、採用プロトコルが異なるために難しかった相互接続運用への道筋を付けたほか、IPv6を用いたインターネット経由での接続が可能になった。
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コンソーシアム主査で東京大学大学院情報理工学研究科教授の江崎浩氏は、今回のラボ設置の目的と意義について、これまで業界を二分していた陣営の機器で、相互接続の実証やトレーニングが可能な環境を提供できたことを挙げる。また、「技術的には2つのプロトコルは同じことをやっていた。相互運用のための標準化やガイドライン整備が進んでいなかったのは、パソコンの世界でいえば、MacintoshとWindowsの違いのような宗教上の理由」と今回のラボ設置の背景を語る。また、「大まかにいえば、三菱ビル系がBACnet、森ビル系がLonWorksを採用している。それがつながるということは、両プロトコルが混在する環境でも統一的に運用できるということ。これはシステムインテグレータにとっては大きなコストメリット」と標準化の効用を説明した。過去に数度行った相互接続実験では、準備に2週間かかっていたが、今回は1日で完了したという。コンソーシアムではプロトコル自体の標準化を提案することはないが、相互接続のためのガイドラインやノウハウは公開していくとしている。
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エネルギー効率の良いビル管理をするためには、これまで「ファシリティ・マネージャ」と呼ばれる専門知識をもった管理者をビルごとに配備する必要があった。ファシリティ・マネージャは、例えば真夏の気温上昇が予想される日には、前日深夜にあらかじめ冷房を入れてビルのコンクリートを冷却。ピーク時を避け、電気料金の安い深夜に冷やすことで省エネルギー、低コストの運用をするなどしている。ビルの運用管理の7、8割は電気料金といわれ、効率的運用によってその3割が削減できるという。
遠隔地からの一括運用が可能になれば、多くのビルをまとめて管理するというファシリティ・マネージャの集約が可能で、「人件費の安い中国から日本のビル群を管理する、ということもあり得るかもしれない」(江崎氏)という。
また、今後標準化が進めば、現在業務用エアコンにのみ搭載されている制御用通信モジュールを、一般家庭向けの家電が搭載する可能性もある。電力線通信(PLC)と組み合わせれば、家電をコンセントに差し込むだけで家庭内に制御ネットワークが構築できる、という。
今後コンソーシアムではラボを通して実機での検証や、これまでにない新たな機器、アプリケーション、サービスの登場を促進するほか、UDDIを利用した集約管理やセキュリティ確保の検証も進めていくとしている。
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