電子ブック図書館Flib開設

電子ブックFlipBook、3年後に2000万人ユーザー獲得を狙う

2007/01/19

岡崎氏写真 イーブック・システムズ 代表取締役社長の岡崎眞氏

 イーブック・システムズは1月19日、電子ブック図書館「Flib」を開始すると発表した。同社が提供する電子ブック「FlipBook」を活用して制作された雑誌や書籍を集める。開始当初はアンカー・パブリッシングが発行する電子雑誌や、青空文庫の小説を電子書籍に作り直したもの、写真集、絵本、カタログなどを無料で公開する。今後は出版社に働きかけてコンテンツを拡充していく。コンテンツの閲覧は無料だが、2007年内に有料コンテンツの販売機能も追加する予定。

 FlipBook事業は、電子ブックに掲載する広告で収益を確保しながら展開する。見開きページの広告料はおよそ200万円。イーブック・システムズは出版社の広告収入の1.5%ほどを徴収する。同社 代表取締役社長の岡崎眞氏によると、1つの電子ブックにつき、10万人のユニークユーザーがいれば十分に広告効果が見込める(広告主が費用対効果を認める)という。

 電子ブックといわれるコンテンツを閲覧するには、Webブラウザではなく、専用の閲覧ソフトが必要である。多くの出版社が独自仕様の閲覧ソフトを開発しており、統一された規格が存在しないのが現状だ。FlipBookを閲覧する場合も、FlipViewerというイーブック・システムズ独自の閲覧ソフトをダウンロードする必要がある。ページの厚みを表現する機能や、複数のページを紙の雑誌のように次々とめくることができる機能など「12件の特許がある」(岡崎氏)というFlipViewerだが、この事業で成功をおさめるには、閲覧ソフトの普及でトップシェアを獲得する必要がある。今回、同社はマイクロソフトの新OS「Microsoft Windows Vista」発売に合わせて、NECパーソナルプロダクツや富士通などPCベンダ5社のPCにFlipViewerおよびガジェットをバンドル(あるいはプリインストール)した。「3年後で2000万人」(岡崎氏)の利用規模を狙う。

 文字や写真などの静止コンテンツに、動画や音楽を乗せ、表現力豊かなコンテンツを展開するには、ページによるインターフェイスが必要だと岡崎氏は言う。「実際、Webで成功した事業は、eBayやGoogleなどサービス事業が主体で、コンテンツビジネスではない」。

 電子ブック事業の広告収益モデルの成功についても、見開き広告のような大画面で、高い表現力の広告掲載が可能な点が有効だと指摘する。Webは、ユーザーがリンクをクリックすることでページが遷移する。つまり、次に表示される内容はユーザーが指定していることになる。「ユーザーが想定するコンテンツと異なるコンテンツを表示することは約束違反になる。Webの大画面広告は歓迎されない」と岡崎氏は言う。ページをめくる行為は、次のコンテンツを指定せず、したがって、見開き広告のような大画面広告が可能となると説明する。

(@IT 谷古宇浩司)

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