VxWorks、Linux Platformの新機能
対応プロセッサの種類を増やすウインドリバー
2007/01/19
組み込み向けOSや開発・運用環境を提供するウインドリバーは1月19日、2006年12月25日にリリースした新製品の説明会を開いた。ウインドリバーは1年に2度、6カ月おきにバージョンアップした製品をリリースしており、2006年12月のリリースでは、組み込みOSとして、リアルタイムOSの「VxWorks Platform3.4(VxWorks 6.4)」、オープンソースの「Linux Platform1.4(Linux Kernel2.6.14)」を、また開発環境として「Workbench2.6」を、診断ツールとして「Lab Diagnostics」と「Field Diagnostics」を発売している。
最新のVxWorks Platform3.4では、対応プロセッサの種類を増やした。それまでのIA32、ARM 9/11、MIPS系などに加えて、FreescaleのPowerPC 8548、プリンタなどで使われるMarvellのMV88f8151、ネットワーク機器で使われるBroadcomのBCM91480などを新たにサポート。すべて“BSP”(Board Support Package)と呼ばれるソフトウェアでの対応となり、アーキテクチャごとの違いを吸収しているため、アプリケーションの移植性が高い。「VxWokrsに加えて、Linux製品を扱うようになって、BSPでサポートするべきプロセッサの数が増えてきた」(代表取締役社長 藤吉実知和氏)といい、中国にBSP対応のための専任部隊を置くなどして、今後もサポートするプロセッサ数を増やす予定だ。
米国で軍需関係のニーズを満たすため、これまでのバージョンアップでPOSIXへの準拠も進めてきたVxWorksだが、「前々回のVxWorks Platform 3.2で50%、前回のバージョン3.3で70%、今回のバージョン3.4で100%のPOSIX準拠となった」(シニアプロダクトマーケティングマネージャーの若山朱美氏)。POSIX準拠により、Linux向けミドルウェアなどを、わずかな変更でVxWorks向けに書き直すことができるなど、移植性が高まった。
VxWorksと並ぶ同社の組み込みOS、Linux Platform1.4では、新たにGUIツールとして「パッチマネージャ」を提供。複雑化するパッチ適用作業を効率的に行うツールを提供する。オープンソースコミュニティで生み出される膨大な数のパッチについて取捨選択し、コンフリクトを解決するのはLinuxベンダの仕事だが、「ウインドリバーのLinuxカーネルは、適用するパッチの種類や順序が透過性が高い」(若山氏)ため、ベンダが固有のパッチを適用する場合にも保守性が高いという。
Linux Platform1.4ではQEMUを使ったホストシミュレーションにも対応した。エンジニアの数に対して開発ターゲットとなるボードの数が十分でないような場合でも、実際のボードにソフトウェアをダウンロードして実行することなく、仮想環境でテスト実行できるため、開発プロセスを効率化できるという。
今回のバージョンアップでは、Eclipse3.2.1ベースでの開発が可能になった。もともとJava開発環境としてスタートしたEclipseに対して同社は、組み込み向けデバイスの開発に適した7000項目の変更をEclipseに対して行ったという。
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