最大204kbpsに通信速度アップ
ウィルコム、W-OAM対応の“京ぽん”など5機種発表
2007/01/22
ウィルコムは1月22日、ベネトンがデザインした端末やデータ通信を高速化した端末など5機種を発表した。音声端末5機種に加え、最大512kbpsの高速通信をサポートする無線通信カード、無線通信モジュールの「W-SIM」を搭載する会議用スピーカーホンも発表。また、家族向けや法人向けに新たに基本料金の割引制度も発表した。
全音声モデルで高速通信規格のW-OAMに対応
今回のモデルから、音声通話向け端末の全機種で高速なPHS規格「W-OAM(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)」に対応した。従来は基地局と端末間で1本のリンク当たり通信帯域は32kbpsだったが、変調方式に「8PSK」を追加し、51kbpsに向上。最大4本のリンクを使う「W-OAM(4X)」で204kbpsまでの通信速度を実現した。また、低速な通信でより広い通信エリアをカバーできる「BPS」のサポートにより、電波状況の悪い環境での音声通話の品質を向上している。
京セラの「WX320K」はW-OAM(4X)をサポートし、最大204kbpsの通信速度を持つ端末。これまでニーズの高かったJavaに新たに対応したほか、RSSリーダーも搭載した。従来モデル同様、PC向けサイトを閲覧できるOperaブラウザや130万画素のカメラを搭載する。液晶ディスプレイは2.2インチQVGA対応。2月中旬発売予定でオンライン販売価格は1万6000円前後。
日本無線の「WX321J」は指紋認証デバイスを搭載したモデル。Webブラジング中には指紋認証デバイスがポインティングデバイスとして使える。W-OAM(4X)に対応したほか、前モデルで要望の多かったカメラについても、130万画素のものを搭載した。2月中旬発売予定でオンライン販売価格は1万6000円前後。
日本無線の「WX220J」は法人向けモデル。ニーズの高い構内PHSに対応しオフィス番号の登録により、多事業所間でも通話料のかからない社内通話が利用ができる。1月25日発売予定でオンライン販売価格は1万1000円前後。
512kbpsを実現する通信カード、会議用スピーカホン
ネットインデックスの「AX530IN」は、W-OAMをさらに高速化した規格「W-OAM typeG」に対応する無線通信PCカード。変調方式としてPHSでは初めてQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)に対応。電波状態のよいときには最大で512kbpsの通信が可能。現在ウィルコムはPHS基地局回線の光IP化を進めており、今後光化が完成すれば、最大800kbpsにまで高速化できるとしている。また、AX530INは速度アップと同時に遅延速度の改善に注力。リモート環境でターミナルを操作した場合などに起こる入力からレスポンスまでの遅延時間を短縮し、体感速度をアップした。
パナソニック コミュニケーションズは会議用スピーカーホンを発表。ウィルコムの無線通信モジュール「W-SIM」に対応しており、電話回線が引かれていない会議室や、屋外での利用が可能。SDメモリカードスロットを搭載し、2GBのカードを利用した場合に約137時間の録音ができる。価格は未定で2007年春の発売を予定している。
ベネトン、タカラトミーとのコラボ端末
タカラトミーがデザインした「nico.neco」は、通話をメイン用途とするユーザー向け端末。タカラトミーによる子猫のオリジナルキャラクターが付属する。定額音声通話用として2台目の端末を購入する若年の女性層などを狙う。2月下旬発売予定でオンライン販売価格は1万1000円前後。
ベネトンがデザインした「WS005IN」は「大人の女性を意識したスモーキーなカラー」(ベネトン ジャパン 代表取締役社長 矢口健二氏)の端末。通信モジュールのW-SIMに対応。色は「Peacock Blue(孔雀の青色)」と「Fuchsia Pink(釣浮草のピンクの花の色」の2色。2月下旬発売予定でオンライン販売価格は1万円前後。
家族でも法人でも3人以上なら基本料金は全員2200円
端末の発表に合わせて、新たな割引サービスも発表された。これまで家族や法人でまとめて加入した場合、基本料金の2900円が2人目以降は2200円になる割引があったが、新たに、家族でも法人でも3人以上で加入すると全員の基本料金が2200円となるサービスを開始した。
また今回のモデルからは、法人向けで特にニーズの高いセキュリティ関連サービスとして新たに「リモートロック代行サービス」にも対応する。これまでにも端末を遺失した際にリモートでロックをかけるサービスは提供していたが、利用するには、あらかじめサービスに加入している必要があった。新たに発表されたリモートロック代行サービスでは、サービスに申し込んでいなくても、1回当たり525円の利用料を支払えばリモートロックが可能になる。
契約者数増鈍化に魅力的端末は不要!?
昨年には平均して5万契約前後あったウィルコムの月間契約者の純増数だが、11月のMNP開始時には携帯電話各社の値下げ合戦のあおりを受ける形で2万5000増程度にまで落ち込んだ。12月に発売した薄型のW-SIM対応端末、「9(nine)」の売れ行きが好調なこともあって12月には3万7000増にまで戻しているものの、W-ZERO3、W-ZERO3[es]など一連のヒットで得た勢いに陰りが見える印象はぬぐえない。魅力的な端末が出せるかどうかが勝負のカギだとすれば、春商戦に向けて高機能性やデザイン性を追求した端末を大量投入している他社に比べてウィルコムの旗色は悪い。
「ご質問が出る前に先にお答えします。おサイフケータイなどの機能も検討しています」と、あらかじめ取材陣をけん制するような発言をしたウィルコム 代表取締役社長 喜久川政樹氏は、あくまでも「(端末の機能だけでなく)料金とサービスをセットにして考えている」とトータルでの通話料金の安さをアピールする。同社試算によれば、定額音声通話サービスを利用している同社ユーザーが、ソフトバンクの「ホワイトプラン」に移行した場合、「ウィルコムの約3倍の料金になる」(喜久川氏)という。2年前に同社が音声定額制を導入した後の、ユーザーの音声トラフィック分布を見ると、21時〜深夜2時までの分量が従来の約70倍にまで跳ね上がったといい、「使いたいときに使えるサービス」であることが同社の通話サービスの最大の強みだと強調する。今回の家族や法人での基本料金割引の新サービスについても、「数万の加入増でペイする」(喜久川氏)と見ており、安さが魅力の同社料金モデルに自信を見せた。
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