SCMに加え消費者サービスや需要予測実用化も射程
三越、化粧品売り場でも電子タグ導入実験
2007/01/24
一昨年の婦人服売り場、昨年のインポートジーンズ売り場に続き、三越が化粧品売り場への電子タグ導入実験を行う。これまで電子タグ導入といえば、在庫管理など流通の効率化を目指したものだったが、顧客へのサービスや需要予測調査のツールとしての可能性を探る。
実験は三越の銀座店、名古屋栄店の2カ所。それぞれ1階の化粧品売り場で、化粧品メーカーの資生堂や、システム開発の富士通らと協力し、1月末から約3週間にわたって行う。
今回の実験は、経済産業省から日本百貨店協会が受託した「電子タグ活用による流通・物流の効率化実証実験」の一環として行われるもので、「これまで婦人服売り場では7店舗、ジーンズ売り場では9店舗の実導入に至っているが、それは検品の効率化や欠品を減らすと目的を明確にして導入してきたからだと思う」(三越 百貨店事業部本部商品統括部 商品システム推進担当 ゼネラルマネージャー 西田雅一氏)と実績を挙げている。
実験では、資生堂の商品センターで10種類の商品に電子タグを貼付し、出荷検品、店頭での在庫管理に役立てるほか、売り場で顧客が手にした化粧品に関する情報を、その場で画面表示するサービスなどを行う。また、店内に仮想的な顧客宅のパソコン環境を再現し、自宅に持ち帰った電子タグ付きサンプル商品について、商品情報や使い方を動画で紹介するホームページへ接続する実験も行う。
需要予測に電子タグが有効かを検証するため、口紅・マスカラなど化粧品のテスターに電子タグを貼付。顧客がテスターを手に取った回数をカウントする実験も行う。4秒おきに陳列台のリーダーで49種類の商品の電子タグをチェックし、4秒以上陳列台を離れた商品は、客が手にしたものとしてカウント。「商品に関する問い合わせ件数と需要はリンクしているが、これまでPOSではそうした需要は捉え切れなかった。今回の実験では、例えば口紅のどの新色の引き合いが強いかなども即座に分かる」(西田氏)。
今回の実験では、商品情報だけでなく、接客サービス充実への応用も検証する。1つは、仮想リアルタイムメイクアップシステム。カメラとディスプレイ、電子タグリーダーを設置したスタンドを使い、電子タグが貼付された口紅やアイシャドーをリーダーにかざすことで、画面内に実際に化粧をした顔が動画として映し出されるシステムだ。これまでにも同様の仮想メイクアップシステムはあったが、画面内のメニューから好みの化粧品を選択するのが難しかった。
実験ではこのほか、これまで紙ベースで管理していた顧客ごとのカウンセリング情報をタブレットPCで行うなど、「電子タグやITがカウンセリングでどういうツールとなりえるのかを模索していきたい」(資生堂 デパート部長 草島則男氏)と、流通面だけでない電子タグの応用について実験を通して検証していく考えだ。
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