IDC Japan特別寄稿
Windows Vista:家庭市場の新たな担い手
2007/01/30
1月30日、いよいよWindows Vistaの一般ユーザー向け発売が開始される。週末から発売に向けたデモンストレーションなどのイベントが行われ、今夜から量販店を中心にさまざまな催しが予定されている。また、これらイベントを前に量販店では予約の申し込み件数も順調に積みあがっているようである。
IDC Japanでは、1月18日に開催したカンファレンス「Japan Predictions 2007」において、Windows VistaはPCのリプレースリプレイス市場を喚起するものの、必ずしもWindows 95の時のような爆発的な伸びは期待できない、と発表した。実際に、11月30日には法人向けの発売か開始されたが、これまでのWindowsの発売に比べてユーザーの購入意欲はそれほど強くない、という声もささやかれている。しかしIDC Japanでは2007年の家庭向けPC市場への出荷台数569万台、成長率は5.8%と決して低くない伸びと予測している。
これまでのWindows、例えばWindows 95、98の発売時は出荷台数そのものが現在と比較して圧倒的に少なかった。インターネットブームが出荷を後押しし、Windows XP発売時には世帯普及率も50%を超えたが、このような状況の中、Windows VistaはWindows 95が登場した当時と同じような驚きをユーザーに与えるであろう。
Windows Vistaの特長は、大きく3つ挙げられる。インターフェイスの改善、セキュリティ機能の強化、検索機能の改善である。3次元的にウィンドウを表示するユーザーインターフェイス「Windows Aero」(以下 Aero)は見やすさと操作性に優れている。セキュリティの強化については、HDD暗号化ツールの「Windows BitLocker」や、ユーザーの管理者権限を制限するツール「User Access Control」を採用している。また、検索機能も大幅に改善されており、検索用のインデックスなどにより、従来より大変、使いやすい物となっている。
これらの機能や性能を備えたVistaがユーザーの需要を喚起するためには、以前述べた“有力なキラーコンテンツ”はもちろん、新たなユーザーの獲得が必要であろう。例えば、団塊の世代にとっては、今後の生活の設計のため、趣味と実益を兼ねて、金融の運用、特にネット証券への関心が高まることが予測される。
しかし現行の運用ではオンラインでの売買に対するセキュリティへの不安が残る。Vistaはインターネットに対するセキュリティが大幅に強化された。この安心感は、今後ネット証券を考えるユーザーにとっては大いに魅力となる。
(IDC Japan PC グループマネージャー 片山雅弘)
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