その実体とは?
「Firefox 3.0」に向けて、Mozillaコミュニティが動き出した
2007/02/02
「いまは、大規模に作り変えられるFirefox 3.0に向けての活動で大変」。Mozilla Japanの技術部 国際化担当マネージャで、Mozillaのコミュニティ「Bugzilla-jp」にかかわる中野雅之氏は、Firefoxの開発コミュニティの現在をこう語る。オープンソースでコミュニティによって開発されるFirefoxだが、コミュニティ活動の実際はあまり知られていない。中野氏に概要を聞いた。
Bugzilla-jpはFirefoxやThunderbirdなどのMozilla製品のバグを管理するシステムの日本語環境。日本のユーザーから挙げられたバグについて再現テストを行ったり、パッチを作成し、本家のBugzillaに報告する。開発コミュニティ、ユーザーコミュニティの「もじら組」がホストしているが、もじら組以外の開発者も参加していて、「活動しているのはパブリックな人」と中野氏は説明する。
本家のBugzillaにはこれまで5万人以上の開発者がバグを投稿してきた。この数字にはBugzilla-jpに参加する開発者も含まれる。Bugzilla-jpの管理者権限を持ち、運営しているのは3人だ。
使い勝手を向上する翻訳コミュニティ
Bugzilla-jpが製品の基幹にかかわるコミュニティ活動とすれば、Mozilla Japanの翻訳部門、ローカライズセンターは製品の使い勝手を向上させる重要な活動といえるだろう。翻訳部門はMozilla FoundationのWebサイトや、掲載されているドキュメントの日本語化を進めている。ローカライズセンターは、「Mozilla L10N フォーラム」でMozilla製品の日本語化や関連ソフトウェアの日本語化支援をしている。
ほかにFirefoxの拡張機能を開発する多数のコミュニティ、個人がいる。技術情報を提供するボランティアベースの「Mozilla Developer Center」もある。
複数のコミュニティをかけ持ちする開発者もいて、国内でどの程度の開発者がMozillaのコミュニティに参加しているかは不明。Mozilla Japanが2006年12月に都内で開催した「Firefox Developers Conference 2006」には140人あまりが来場した。
開発のライブ感を楽しむ
中野氏はコミュニティによるソフトウェア開発の効果を実感している。特にマンパワーが必要なバグの修正については「バグフィックスの進ちょくがオープンになっているのは理想的でないかと思う。バグを報告する開発者にとっても安心感がある」と話す。Bugzilla-jpに限らず、Mozillaのコミュニティには「開発やテストのライブ感を楽しんでいる人もいる」と中野氏は述べた。
バグフィックスなどのプロセスをオープンにしているMozillaだが、Firefoxのコアに関する開発プロジェクトは「絞り込んだメンバーが作り込んでいる」(中野氏)。中野氏は「語弊があるかもしれないがよい意味で“独裁的”」とも表現した。
Firefoxが独裁的に開発される理由
しかし、独裁的なのは理由がある。それは機能を盛り込みすぎて製品を複雑化しないためだ。絞り込んだ機能を絞り込んだメンバーが開発するのがFirefoxに対するMozilla Foundationの態度。もちろん、形ができたところからBugzillaなどがバグフィックスを行って品質を高めていく。エンドユーザーがFirefoxに機能を追加したい場合は、豊富に用意されている機能拡張を利用するという考えだ。
中野氏はMozillaのコミュニティについて「来てくれる人が皆パワフル。間口を広げているので多様な人が参加するのだろう。これは一般のソフトウェア開発にはないオープンソースのメリットだ」と話した。
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