SAP、2006年度のハイライト
日本版SOX法施行が追い風、ソフト売上げ前年比17%増、SAP
2007/02/06
SAPジャパンは2月6日、2006年度業績のハイライトを発表した。代表取締役社長就任18カ月目のロバート・エンスリン(Robert Enslin)氏は、好調な業績に終始満足げな表情だった。
同社が発表した数字は、ソフトウェアの売上げ(前年比17%増)、中堅・中小企業事業の売上げ(同43%増)、顧客数(合計1950社、このうち新規に増えたのは650社)、従業員数(192名増)など。
エンスリン氏は2005年9月に「2006年にはパートナーを通じたビジネスを現在の3倍にする」「SAPジャパン全体のビジネスを2010年には現在の2倍にする」としており、2006年度の業績が中期目標達成に大きな貢献を果たしたことを示唆した。
2006年度における目標達成の要因としてエンスリン氏が挙げたのは、中堅・中小企業市場への注力、主要な業界での大きな案件の獲得、販売過程での「Value Engineering」(無料のコンサルティングサービス)の活用、エンタープライズSOAのリリースといった2005年から開始した新たな施策の成功と、日本版SOX法施行といった外的要因であった。
2007年度は「2006年度に確定した方向性のさらなる拡大を狙う年になる」(エンスリン氏)。特に、2010年までアップグレードを行わないと発表した「mySAP ERP 2005」の、既存顧客へのアップグレード推進作業を2007年、2008年の2年間をかけて重点的に展開していく。
加えて、企業内のさまざまな法令遵守を支援する「ガバナンス、リスク、コンプライアンス管理」(=GRC)の展開にも力を入れる。G・R・Cの頭文字で表される法令遵守プロセスを企業のビジネス・プロセスに組み込み、そのビジネス・プロセスをITで実現するSAPのコンポーネント群へ実装するというもの。エンスリン氏は「他社にはない完全なGRCソリューションである」と自信をみせた。
日本国内の業務ソフト市場にはSaaSの潮流が現れている。パッケージベンダとして現在の地位を築いてきたSAPにとって、SaaSの存在は無視できるものではないだろう。2006年4月には、「mySAP CRM」のWeb版「SAP CRM On-Demand」を発表し、SaaS市場への参入を果たしたが、「案件が10件あるとそのうちの1件でSAP CRM On-Demandが採用されるが、ほとんどはパッケージに流れてしまう」(同社 バイスプレジデント 安田誠氏)という状況だ。ただし、これは同社の当初からの狙い(「SAP CRM On-Demand」を糸口として、「mySAP CRM」への移行を促す)であり、2007年度も同社がパッケージのライセンスビジネスからSaaSビジネスへ移行することはなさそうだ。
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