フローごとにユーザーの感じる品質が分かる

NGN時代のサービス品質確保へ、テストツールの新製品

2007/02/08

 エンピレックスは2月7日、Shenick Network Systems開発によるIPネットワークテストシステム「diversifEye」(ダイバーシファイ)の新製品「diversifEye10G」を国内発売すると発表した。エンピレックスは同製品がNGN(次世代ネットワーク)時代の通信事業者やサービス事業者に必要不可欠とし、国内での売り込みを強化する。

 diversifEyeはトラフィック生成・送出をベースとしたパフォーマンステスト/品質検証製品シリーズで、通信機器やセキュリティ製品、サーバの負荷耐性を検証したり、ビデオやIP電話などのサービスの品質を計測したりすることができる。リアルタイムビデオストリーミング(IPマルチキャスト)、オンデマンドビデオ配信(RTSP)、IP電話(SIP/RTP)、Web(HTTP)、電子メール(SMTP/POP3)、P2Pアプリケーションプロトコルなどによる通信を擬似的に生成、あるいは実際のトラフィックを記録して再生することが可能。SYN FloodやDDoSなどのセキュリティ攻撃トラフィックを生成し、検証を行う機能も備わっている。

empirix01.jpg ShenickのCTO、ケビン・グラビン氏(左)とチーフマーケティングオフィサー、ロバート・ウィンターズ氏(右)

同シリーズ最大の特徴は、ユーザーにとってのネットワークサービスの品質(同社ではQuality of Experienceと呼んでいる)をきめ細かく計測できること。単に特定のプロトコルのトラフィックを一方的に投げるのではなく、現実のやり取りと同様の双方向の通信をシミュレーションできるため、PPPoEでの認証と接続からDHCPによるIPアドレスの動的な割り当てなど、通信サービスへの接続に伴う一連の手順を検証したり、多数のリクエストを受けた場合のサーバの振る舞いとサービス品質の変化を計測することなどができる。

「現実のトラフィックでテストが行える。例えば電子メールの送出テストで使うデータは、インターネットへの接続環境があれば実際に相手に送られてしまうものだ。さらにこの製品では、家庭や環境ごとのQuality of Experienceを確認することができる」と同社のチーフマーケティングオフィサー、ロバート・ウィンターズ(Robert Winters)氏は説明する。

 diversifEyeでは、1台でサーバとクライアント双方をシミュレートすることができ、さらにフロー単位での計測ができる。例えば個々のユーザーがIPTVのチャンネル切り替えをしたときに感じる遅れなどを正確に知ることができる。10Gbpsに対応した新製品diversifEye10Gでは、「400〜1000万のホストを作り出すことも可能」とShenickのCTO、ケビン・グラビン(Kevin Gravin)氏は話す。

 同シリーズは世界中で70社に採用されているが、そのうち70%がトリプルプレイ(データ、音声、映像の通信)関連、20%がセキュリティ関連だという。

 diversifEyeシリーズを担当するエンピレックス副社長の渡邊一正氏は、「従来のインターネットサービスではサービスの品質を保証することはなかった。しかしNGNになるとサービス品質は大きな問題になる。diversifEye が10Gbpsに対応したことは、こうしたニーズを持つ通信事業者のバックボーンにおける評価にも使えることになり、ちょうどタイミングがいい」と話した。

(@IT 三木泉)

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