管理可能な適用範囲を広げる統合管理コンソール
新LANDeskは10月発売、仮想化環境もサポート
2007/02/08
企業内のIT資産管理やリモートコントロール、パッチの配布・適用といった機能を提供する統合管理ソフトウェア、「LANDesk Management Suite 8.7」が、今年10月にもメジャーバージョンアップを予定していることが明らかになった。もともとデスクトップクライアントの管理向けでスタートしたLANDeskだが、モバイル機器やサーバ、サービスまで管理対象とし、日本市場に攻勢をかける。
適用範囲を広げるLANDesk、データセンターも射程
1985年に創業した米LANDesk software(旧LAN Systems)は、一貫してシステム管理ソリューションを手がけてきた。その歴史は買収や統合の繰り返しだが、そうした組織変更のたびに、LANDeskは市場シェアも製品の適用領域も広げてきている。
LANDesk softwareは1991年に米インテルに買収されたが、コア事業への集中を理由に、2002年には再び独立企業となる。2003年にリリースしたセキュリティパッチ配布ツール「LANDesk Patch Manager 8」は同社の売り上げの20%を占めるほどのヒット製品となり急成長。2006年には米Avocentに買収されたが、その後はウイルス対策ソリューションの「LANDesk Antivirus」、ビジネスプロセス管理ツール「LANDesk Process Manager 2.0」などを矢継ぎ早にリリース。管理対象となる領域を拡大してきた。
米Advocentは、もともとKVMスイッチ大手のApexとCybex Computer Productsが合併して2000年に設立された企業だが、電源管理やサーバのシリアルコンソールが管理できるソフトウェアを提供する企業を買収するなどして、データセンター向けソリューションを提供する企業となっている。
10月のメジャーバージョンアップでは仮想環境もサポート
今年10月を予定しているというLANDesk Management Suiteのメジャーバージョンアップは、LANDeskの統合ソリューションに、Avocentが持つデータセンター向けの管理技術を初めて統合したものになるという。「LANDeskとAdvocentのソリューションは相補的な関係にある」(米Avocent LANDesk部門 ジェネラルマネージャ スティーブ・デイリー氏)。買収以前にも両者は協業してきたが、知名度やブランド力で勝るLANDesk側に機能を統合することで、より大きな市場への浸透を狙う。
新バージョンに追加されるデータセンター向けソリューションとして、電源管理と仮想化環境のサポートが挙げられる。
高性能、高密度化するデータセンターでは、電源容量や電源消費量の管理がクリティカルな問題となっている。また、VMwareやXenといった仮想化ソリューションの導入が進んでいるため、仮想OSの管理機能もダッシュボードに組み込む。「システムのハードウェア管理というところから、管理対象としてセキュリティやサービスといった方向に管理のニーズは変わってきている」(デイリー氏)と、個別のサーバやクライアントの管理より、サービスの管理が重要性を増していると指摘。「メールサービスが問題なく運用されていることが重要で、そのためにはデスクトップからデータセンターまで含めた管理コンソールが必要」(デイリー氏)。
このほか次期バージョンアップでのデータセンター向け以外の機能強化点として、遺失したモバイル端末のデータをリモート操作などで消去する機能や、ゼロデイアタックなどセキュリティパッチが間に合わないケースに備え、通常と異なる挙動を示したクライアントPCをネットワークから切断する「HIPS」(Host-based Intrusion Prevention)の搭載などがあるという。
今後、2008年に向けてはデータセンター、ストレージ、ネットワーク、サーバ、クライアント、モバイルの各分野でサービス管理に関わる機能を中心に強化していく。また、人事や財務といった業務プロセスの管理も、長期的には統合していく方針だ。
人的リソース投下で、日本市場にコミット
ワールドワイドでビジネスを展開するLANDeskだが、アジアパシフィック・ラテンアメリカ地域担当セールス副社長のロン・ギボンズ(Ron Gibboms)氏は「日本と、それ以外の国は違う。販売チャネルも販売後のサポート体制に対する顧客のニーズも違う」と日本市場の特異性を指摘する。サポートについては北米の1拠点で全世界の顧客に対応しているが、日本ではこの拠点では対応できない。販売体制についても日本は例外的。大手SIベンダ7社と提携するようになり、過去3年で業績は50〜70%アップしたが、それ以前はディストリビュータ1社を通しての販売のみで、売り上げは伸び悩んだ。こうした事情からギボンズ氏は「日本市場にまだチャンスがあるのは明白」とし、人的リソースの投下で、サポート体制の強化とチャネル販売の強化を進める考えだ。
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