講演「アジャイル開発2.0と自動化」

現代のソフト開発の生産性は1920年代の自動車産業並

2007/02/13

サイクス写真 サイクスの代表取締役兼プリンシパルコンサルタント 宗雅彦氏

 サイクスの代表取締役兼プリンシパルコンサルタント 宗雅彦氏は2月13日、DevPartner User Forum(主催:日本コンピュウェア)で「アジャイル開発2.0と自動化」と題する基調講演を行った。

 宗氏の講演は、日本の製造業における生産方式の変遷と現代のソフトウェア開発における生産方式の状況を比較検討しながら、効率的なソフトウェア開発手法の解を提案するというもの。宗氏によると、(現代の)ソフトウェア開発の生産性は、1920年代の(米国の)自動車産業並だという。

 モデルとなる企業はフォードだ。1913年に最初の移動組み立てラインを導入し、1927年までに「28時間で」(イタリア・トレント大学エンリコ・ザニノット氏の講演から)鉄鉱を自動車に組み立てることが可能になった。この時期、自動車業界における生産方式の常識は、製品の品質が個人のスキルに依存する「クラフト生産」方式から、「大量生産」方式へと劇的に切り替わった。現代では、主にトヨタ自動車が主導する「ジャストインタイム」の生産方式が主流である。

 ソフトウェア業界でいまだに主流となっているウォーターフォール型生産モデルは、大量生産のパラダイムで考案されたものであると宗氏は指摘する。しかし、開発期間の短縮や、システム要求の短期的な変化という条件を満たしながら、成果物の品質を確保するのは非常に困難である。ウォーターフォールプロセスの部分的な改善、すなわち、要求仕様書の作成と要求に基づくテスト仕様書の作成を並行して行うといった「コンカレント・エンジニアリング・プロセス」概念の適用などでは、限界に突き当たってしまう。

 ウォーターフォールプロセスの改善ではなく、「要求の頻繁な変更に対応できる開発プロセスを新たに導入する必要がある」と宗氏は話す。そして、この種のアジャイル開発プロセスに、テストツールによる自動化の組み込みは必須であることと強調した。

(@IT 谷古宇浩司)

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