Developers Summit 2007セミナーレポート
Web2.0をデスクトップに統合するApollo
2007/02/14
「まだApolloのようなプラットフォームを適切に表す言葉がない」――、ソフトウェア開発者向けセミナーの「Developers Summit 2007」で、「“Web2.0 on Desktop”が開発者にもたらすもの」と題したセミナーを行ったアドビジステムズの上条晃宏氏は、同社が開発中のプラットフォーム「Apollo」について、そう説明を始めた。
Apolloは、アドビが開発中のまったく新しいアプリケーションプラットフォームだ。「Webブラウザ内で実現するのは難しい、でもWebアプリとして作りたい」といったニーズに応え、Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの間を埋める。ローカルにインストールした実行ファイルやライブラリ上でApolloのアプリケーションを動かすという点ではFlashに似ている。クロスプラットフォームで稼働する点でもFlash同様だ。
Apolloの最大の特徴はOSと統合されている点だ。Ajax、Flash、Flexといった既存のWeb技術を使いつつ、同時にローカルのストレージやGUI、ポインティングデバイスを利用できる。一般的なデスクトップアプリケーションと同様のインストール方法、ドラッグ&ドロップやクリップボードのサポート、ネイティブアプリケーションとの通信など、Webブラウザではなくデスクトップアプリケーションでなければできなかったことが可能になる。
GMAILなどのAjaxを使って作り込んだWeb2.0的なサービスでは、ページという概念が希薄になってきている。ページを戻るというボタンを押した場合に何が起こるか分からないサイトも増えており、そうした画面全体が遷移せず、一部分だけ表示が置き換わるデスクトップアプリケーションのようなインターフェイスの設計は、Apolloを使うことで容易に行えるという。
Apolloはデスクトップへの統合を進めてはいるが、限界もある。「先日、iTunesのようなアプリケーションがApollo上で実現できるかと考えていて、無理だなと思いました」(上条氏)というのは、デバイスの制御やAACやQuickTimeのコーデック、DRMの実装などの問題があるためで、こうした機能の実装はデスクトップアプリケーションでなければ難しいという。逆に、タブやボタン類を好きに配置した私家版Webブラウザの作成は、数ステップで簡単にできるなど、「WebブラウザはApolloの1つのアプリケーションだった、という位置付け」(上条氏)と見ることもできるというように、Webとの親和性はきわめて高い。
Apolloの実行環境は2007年中にバージョン1として無償でリリース予定だ。テキストエディタなどを用いれば、コストをかけずにApollo向けのWebアプリケーションを作成できる。かつてのフリーウェア文化と同様に、「個人がApollo向けのWebアプリケーションを作成してフリーウェアとして公開するというのも、Apolloの可能性の1つではないか」と話す。
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