世界初、東大が公共放送のアーカイブを教育に利用

東大が開発した「未来のマルチメディアノート」

2007/02/15

 東京大学は2月15日、放送番組映像データベースを活用した教育支援ソフトウェア「MEET Video Explorer」の試作品を発表した。同ソフトで使用される映像コンテンツは公開されているNHKアーカイブス5000本の番組の中から東京大学が選択したもの。公共放送の映像データベースが教育目的で活用されるのは「世界初の試み」だと東京大学 情報学環 助教授/MEETフェロー 山内祐平氏は言う。

 公開デモンストレーションは、同大の学生16人に技術史(半導体技術の発展)をテーマとした模擬授業を行うという形で実施した。模擬授業で使用した映像はコア映像として「NHKスペシャル 電子立国 日本の自叙伝」のほか、学生の理解を助けるための対比・文脈映像「プロジェクトX」や「あの日あの時」を加えた31番組、623クリップ。これらの映像にはあらかじめMPEG7準拠のメタデータを付与(作業時間は2人で1週間程度)し、データベース検索が可能なようにしてある。

meet写真3 「MEET Video Explorer」を使った授業風景

 学生は検索結果をペンでドラッグしながら映像を視聴し、同時に映像の内容を概念図にまとめていく作業を行った。2007年秋をめどに、テキストをマーキングしながら概念図を作成したり、概念図から文章を作成していくといった作業を支援する機能(MEET eJournal Plus)の追加を予定している。山内氏はこのシステムを「未来のマルチメディアノート」であるとする。

meet写真2 映像を見ながら概念図を描いていく

 2007年5月には駒場キャンパスに同大初となるタブレットPC対応教室「駒場アクティブラーニングスタジオ」を開設する。また、2008年2月をめどに情報学環・福武ホール(タブレットPC対応教室 3室)の建設を予定している。

 今回の試みは、東京大学がマイクロソフトの寄付によって学内に設置した「マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門」(MEET:Microsoft chair of Educational Enviroment and Technology)による取り組みの1つである。マイクロソフトは、東京大学へ4000万円の寄付を2006年から2009年まで3年間行う。

 MEETに先立ち、東京大学は全学的な教育の情報化プロジェクト「TREEプロジェクト」(Todai Redesigning Educational Enviroment)を展開している。MEETはTREEプロジェクトの一貫として、ITを効果的に活用した「課題発見型教育」の実現を目指す実践的な研究を行っていく予定。

 現在、MEETで進行しているプロジェクトは今回発表した「ビデオ・アーカイブス」プロジェクトに加えて、前述した「eジャーナル」プロジェクトのほか、授業のシラバスをポータル・サイトにアクセスすることで閲覧できる「コースカタログ」プロジェクトの3つがある。

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(@IT 谷古宇浩司)

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