失敗プロジェクトから教訓得る

CRM失速の原因は使い勝手、Siebel新版のブレークスルーは

2007/02/16

 米オラクルはCRMアプリケーションの最新版「Siebel CRM 8.0」を1月31日に発表した。国内では2003年ごろにCRMの導入が進んだが、活用できない企業が続出。「CRMは死んだ」とも言われた。しかし、日本オラクルのアプリケーションマーケティング本部 CRM&SMEビジネス推進部 ディレクター 塚越秀吉氏は「いま新たに使われようとしている。CRMは死んだのではない」と強調する。

oracle01.jpg 日本オラクルのアプリケーションマーケティング本部 CRM&SMEビジネス推進部 ディレクター 塚越秀吉氏

 過去にCRMが使われなかったのはトップの参画がなかったことと、データが蓄積されなかったり、データの信頼性が低かったことが原因と塚越氏は分析する。「オラクルもCRMが使われていないことを慎重に受け止め、CRMの失敗プロジェクトを調査した」といい、その教訓がSiebel CRM 8.0に活かされている。

 ただ、トップの参画はパッケージアプリケーションだけで解決できない問題。塚越氏はコンサルティングサービスを組み合わせてユーザー企業に意識変革を迫る必要があると話した。CRMにデータが入力されなかったり、データの信頼性が低いのはCRMの使い勝手が悪いのが要因。塚越氏は「Siebel CRM 8.0はこの壁をブレークスルーする仕組みを入れている」と強調した。

 ブレークスルーの1つはユーザーインターフェイスの改善。ユーザーが次に取り得る行動をシステム側がガイドするタスクベースのUIを実装し、ユーザーが操作を迷わずに、CRMの機能を最大限活かせるようにした。UIにはAjax技術を取り込み、ストレスなく操作できるようにした。

 また、ビジネス・インテリジェンスの業務分析機能を統合し、ユーザーがリアルタイムにデータを分析できるようにした。「Siebel CRM 8.0は単なる顧客管理から顧客戦略基盤になる」(同社 執行役員 アプリケーションマーケティング本部長 藤本寛氏)。

 検索エンジンの「Oracle Secure Enterprise Search」もSiebel CRM 8.0に統合し、ユーザーの権限に応じて蓄積されている顧客管理情報を検索できるようにした。現在、営業担当者が顧客に初めて接触する際、その顧客の情報をWebサイトや自社の過去の顧客管理情報から調べるのが一般的。Secure Enterprise Searchはそのような新しい営業スタイルに対応する。

(@IT 垣内郁栄)

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