アジャイルメディア・ネットワーク
「マジックミドル」の濃いブログをネットワーク化、広告配信の新会社設立
2007/02/22
グーグルの個人向けブログ広告、Adsenceが「ロングテイル」を狙うのに対し、現在、米国では質が高い有名ブログなど、「マジックミドル」といわれるメディアを広告出稿先とする広告ビジネスが注目を集めている。
2月13日に設立したアジャイルメディア・ネットワーク(以下、AMN)は、こうした米国のトレンドを追い、「日本初のブログネットワークを通して『エキスパートメディア』の創出を目指す」と訴える。
魅力的なブログを運営するブロガーに対して、企業から集めた広告を配信し、収入面でサポートするのが同社の役割だ。米国では、ブログネットワークと呼ばれるこうしたブログに特化した広告代理店的な形態の企業が急成長している。
米国で利益を上げるブログネットワークについて、代表取締役社長 坂和敏氏は次の3社を挙げた。110の参加サイトを持つ「Federated Madia Publishing」、111ブログが参加する「Weblogs,Inc」、13ブログが参加する「Gawker Media」。いずれも年間売上高が数百万ドルから1000万ドルに達するという。
AMNが、現段階でスポンサー企業に用意する広告枠は、参加するブログのタイトルヘッダ近辺のラージバナー枠と、ブログのサイドバーの広告枠だ。サイドバーの広告枠には企業ブログの記事タイトルなどを表示できる。スポンサー企業は、「マジックミドル」に位置付けられるこれらのブログに広告出稿し、自社のPRができる。
AMNに参加するブログ数は12(参照:AMNのブログネットワーク)で、総計ページビューは月間300万だという。参加するブログ数は、年内に50、将来的に100を目標にしている。参加ブログの質を維持し、ノイズの少ない、効率の高い情報収集手段を読者に提供するため、100以上は増やさない方針だという。
AMNでは、初年度の売り上げ1億円を目指している。参加するブロガーへは広告売り上げの50%を分配する。ページビューを基にブログごとに分配の差を付ける。将来的には参加ブロガーのモチベーションを高めるために、ブログの分配を大きくしていく考えだ。また、当初の広告販売枠は参加するすべてのブログが対象となるが、今後はスポンサー企業の「このブログに出したい」というニーズに沿って広告出稿するブログを選択できるようにする予定だ。
AMNでは、読者との信頼関係を守るため、試供品提供などのいわゆる「やらせブログ」を書いてもらうといった手法は採らないとしている。
坂和氏は、現在の国内ブログについて、「質の高い、中身の濃いブログがいくつも登場していて、スタイルも内容も実にさまざまで面白い」と語る。AMNとしては、「ほかにはない知見や洞察が含まれたブロガーに参加してもらうことで、スポンサー企業には質の高いマジックミドル層へのリーチを提供できると考えている」と、自社のビジョンへの自信を見せた。
当初は「ビジネス」というテーマでブログネットワークやスポンサーを獲得していくが、将来的には「ライフスタイル」や「エンターテインメント」といった分野のネットワークも増やしていきたいと意欲を語った。
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