リッチな業務WebアプリケーションもWANで利用可能に
F5、WANや仮想化環境に強いWebアプリ高速化ハードウェア
2007/02/28
F5ネットワークスジャパンは2月28日、レイヤ4-7のアプリケーション層の帯域を管理、最適化するBIG-IPシリーズに、最上位機種「BIG-IP 8800」を加えて、今夏に発売すると発表した。内蔵の独自ファームウェアであるBIG-IPを大幅に拡張し、マルチコアCPUに対応したほか、WAN環境でのWebアプリケーションを高速化する新機能を盛り込んだ。
BIG-IPは約10年前、集中するトラフィックを分散するサーバ・ロードバランサとしてスタートした。2年半前にリリースしたBIG-IP v9からは、シンプルなロードバランサ以上のトラフィックコントロールを行う“アプリケーション・デリバリ・プラットフォーム”とうたい、Webアプリケーションの配信プラットフォームとの製品の位置付けを明確化。今回、その後の2年半で蓄積したノウハウを元に、BIG-IP v9.4にバージョンアップした。
マルチコア、マルチプロセッサに対応し、高速化
BIG-IP v9.4の特徴はマルチコアとマルチプロセッサに対応したこと。レイヤ7で最大8Gbps、SSLで最大6Gbpsのバルクスループットを出す。同社従来モデルや、競合製品に比べて約2倍の性能を持つという。米F5ネットワークス プロダクト・マネジメント担当ディレクターのジェイソン・ニーダム(Jason Needham)氏によれば、オンラインゲームサイトの米zangoが3台のBIG-IP 6400を1台のBIG-IP 8800に置き換えた事例があるという。
業務用WebアプリケーションをWAN環境で用いた場合に、LANほどのパフォーマンスが出ないケースがある。ニーダム氏は米製薬大手のJohnson&Johnsonを実例として挙げ「何百万ドルものコストをかけたのに、ポータルページをロードするだけで10〜20秒もかかった。研究開発部門の社員が利用を拒絶することになった」と、WAN環境でのWebアプリケーションが抱えるレスポンス悪化という課題を紹介した。
こうした背景から、BIG-IP v9.4では、Webアプリケーションのトラフィックを最適化する機能を盛り込んだ。1つは“インテリジェント・ブラウザ・レファレンシング”(IBR)。Webページ上の変更対象となるコンテンツのみをダウンロードする機能や、Webブラウザのキャッシュを最大限に利用する機能を持つ。また、標準的なWebブラウザではコネクションを同時に2つしか張らないが、BIG-IPは6つのコネクションを同時に利用する。これらの機能は、Webブラウザの設定や、ネットワークの構成を変更することなく利用できる。
業務で利用頻度の高いアプリケーションに対して個別の最適化を行うプラグインモジュール「WebAccelerator」も拡充した。代表的なCRMに対応し、例えばSiebel7.7で比較した場合、WebAcceleratorを使わない場合に比べて約3倍の高速化を実現できるという。
仮想化環境で管理コスト削減
BIG-IP v9.4では管理機能も強化された。新たに導入された「管理機能ドメイン」は、特定のアプリケーションや部門ごとに権限を分割したパーティションを作成することで、個別のアプリケーションに対するアクセス制御を行うための機能。F5ネットワークスジャパン、シニアプロダクトマーケティングマネージャーの武堂貴宏氏は、「今後、物理サーバの仮想化が進み、トラフィックも集約される。仮想サーバ群の手前にBIG-IPを設置することで、トラフィックの最適化と管理を一元的に行える」と、仮想サーバ環境での管理コスト削減のメリットを説明する。
オプションの追加モジュール「BIG-IP ASM」(Application Security Manager)は、サーバとWebブラウザの通信を双方向で監視する。バッファーオーバーフロー、クロスサイトスクリプティング、クッキー改ざん、SQLインジェクションなど、レイヤ7の攻撃を防御するほか、正当なリクエストによらないコンテンツ送出や不要なエラーメッセージの表示を抑制するなど、情報流出を防ぐ機能も盛り込まれている。
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