3年間で10万台を目指す

NEC、インド市場におけるシンクライアント販売開始

2007/03/01

 NECは3月1日、インドにおけるシンクライアント関連事業についてインドのシフィと戦略的な提携を締結したと発表した。シフィは、NECが発表した仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」(以下、VPCC)を3年間で10万台を目標に販売する。

NEC写真 (左)シフィ CEO兼社長 ラジュ・ベゲセナ氏、(右)NEC 取締役執行役員専務 小林一彦氏

 NECは、2006年11月にVPCCを発表。「企業ITの世界を一変させる可能性もある」(NEC 取締役執行役員専務 小林一彦氏)と語り、自信を見せていた。すでに日本、欧州、北米での販売を開始しており、2007年第2四半期からはAPAC市場での投入を予定していた。APAC市場進出に伴い、アジア市場でもPC出荷額3位となるインド市場でのパートナーシップの一環として、シフィとの提携を発表した。

 小林氏は、インド市場の可能性について「世界のデータセンターが集まっている。まだビジネスPC市場は黎明期で年率24%の高い水準で成長していて、今後がとても期待できる市場だ。黎明期のインドにおいては、コスト面から考えてもシンクライアントがシェアを取れる可能性は高い」と分析。現在、NECはインドにおいてPC事業を展開していないので、インドの大手データセンターサービス会社であるシフィと提携することにより、インドにおけるシェア拡大を一気に図り、インド市場参入への本格的な足掛かりにしたい考えだ。

 シフィは、インド・チェンナイに本拠地を置くデータセンターサービス会社で、ホスティングサービスやネットワークアウトソーシングサービスといった企業向けサービスや、インターネットカフェをインド全土に3500店舗構えるなど、コンシューマ向けサービスも提供している。顧客は1600社で、内訳はインド企業が60%、ワールドワイドカンパニーが40%。NECとの提携では、まずシフィ自身のコールセンターやデータセンター、インターネットカフェを中心にVPCCを導入。さらに、顧客に対してVPCCの販売を行う。

 VPCCの販売では、6月末からは専用のオールインワンセットモデルの提供を開始。3年間でVPCCクライアント10万台、VPCCサーバ6000台の販売を目指す。専用のオールインワンセットモデルは、VPCC管理サーバとVPCC仮想PCサーバをセットにしたモデルで、最大20個の仮想PC環境を利用できる。最大の特徴は初期導入費用(システム価格+SI費用)を従来比で約40%削減した点だ。さらに、2007年年末からは、仮想サーバ5台に加えてバックアップサーバ1台をセットにし、最大100台の仮想PC環境を実現できるセットモデルを提供する予定だとした。

 シフィ CEO兼社長 ラジュ・ベゲセナ(Raju Vegesna)氏は、「インドのPC市場は始まったばかり。米国におけるPC普及率は1000人当たり950台だが、インドでは1000人当たりたった14台だ。エンタープライズ、コンシューマ向けともにまだまだ可能性がある」とインド市場の魅力を力説。小林氏は、「通常のデスクトップPCの年間の維持コストは日本の場合、およそ30万円といわれている。これをシンクライアントにすると、約40%削減できることが分かっている。当社内でも50項目のチェックリストを作成し、コスト削減具合を調べているところだ。また、シフィと協力して、インドにおけるチェックリストを作成しているところだ。このチェックリストの結果を顧客に見せることで、シンクライアントの優位性をアピールできる」と語り、コスト面でもシンクライアントが十分勝負できるとアピールした。

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(@IT 大津心)

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