アドビが上半期にベータ公開
Webのスピード感で開発――「Apollo」が注目集める理由
2007/03/02
米アドビ システムズが開発中のミニアプリケーション実行環境「Apollo」が注目を集めている。AjaxやFlash、PDFなどのテクノロジを使ってオフラインでも動作可能なデスクトップアプリケーションを開発する技術で、「Web 2.0をデスクトップに統合する」との指摘もある。日本でApolloを担当するアドビ システムズのプロダクト&セールスエンジニアリング部 プロダクトスペシャリスト 太田禎一氏は「Apolloを使うことで、Webのスピード感でデスクトップアプリケーションを作れる」と説明する。
Web技術の脱ブラウザを実現
Apolloはランタイム(実行環境)をクライアントPCにインストールし、対応アプリケーションを稼働させる。AjaxやFlash、PDFなどWebと親和性が高い技術を使いながら、ローカルディスクへアクセスできたり、オフラインでも利用できるなど「Web技術の脱ブラウザを実現する」(太田氏)。Web技術のスキルを持つ開発者はそのスキルを生かして、スピード感を維持したままで、デスクトップアプリケーションを開発できる。アドビは「Windows Vista Sidebar GadgetやYahooウィジェットなどへのアドビからの回答」としている。
では、Apolloはどのようなアプリケーションに向くのか。太田氏は「Webサービスのフロントエンドの実装を補完する形が考えられるだろう」と語る。ネットオークションや写真共有サイトはWebサイトからのデータ入力だけでなく、スムーズにデータをアップロードできるように専用のデスクトップアプリケーションを用意しているケースが多い。写真共有サイトの「Flickr」のツールなどが有名だ。
Webサービスのフロントエンドツールに利用
このようなWebサービスに関わる開発者はWeb技術には精通していても、デスクトップアプリケーションの開発にはそれほど詳しくないことが多い。かといって外部に開発を委託すると時間、コストがかかる。このような場合にWeb技術に詳しい開発者がApolloを使えば、「スキルがなくても短期でデスクトップアプリケーションを開発できる」(太田氏)。ApolloアプリケーションはWindows、Linux、Macのクロスプラットフォームで稼働する。Web技術の応用とスピード感の維持がApolloの最大の特徴だろう。
Webブラウザの制約を超える
アドビがApolloを開発する背景にはWebブラウザの限界がある。WebブラウザはWebページを見ることを基本に設計されているため、アプリケーションの利用では「直感的でない動きがある場合がある」(太田氏)。Apolloはウィンドウの形状やインターフェイス、操作性などWebブラウザの制約を外すことができ、ドラッグ&ドロップやクリップボード、ローカルディスクの利用が可能になる。「Webブラウザのよいところを生かして、足りないところを補う」(太田氏)のがApolloだ。
Apolloは2007年上半期中にベータ版が公開される予定。ランタイムのほか、コードをApolloアプリケーションにパッケージングするSDK、Flashアプリケーション開発ツール「Flex Builder」向けのプラグインが提供される。ApolloアプリケーションはFlex Builderのほか、Flash Professional、Dreamweaverなどで開発可能だが、アドビはHTMLベースのコードでもApolloアプリケーションにパッケージングできるコマンドラインツールも用意する予定だ。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|