ビジネス市場がコンシューマ市場の後追い
SNSやブログ、ソーシャルブックマークを取り込むロータス
2007/03/02
Lotus Notes/Domino 8がSNSとWeb2.0の技術を取り込んで大きく変わろうとしている。1月末に発表され、2007年後半にNotes 8と前後してリリース予定の「Lotus Connections」はmixi、はてなブックマーク、TypePadをビジネスの世界に持ち込んだようなツールだ。
知らない人とのコラボレーションがイノベーションを生む
「ITの世界では今、ビジネスの領域よりコンシューマの領域のほうがイノベーションの速度ははるかに速い」。日本IBMが3月2日に開催したセミナー「Lotus Sprint Forum 2007」の基調講演で挨拶した同社Lotus事業部 事業部長の澤田千尋氏は、今回のメジャーバージョンアップの背景には“コンシューマ向けからビジネス向けへの技術伝播(ぱ)”という大きな潮目の変化があるという。かつてメインフレームで培われた技術がサーバやクライアントへと時間とともに普及していったのとは逆に、現在は、例えばプレイステーション3向けに開発されたプロセッサ「Cell」がサーバ製品に組み込まれたり、メッセンジャーやSkype、SNSのようなコミュニケーションツールも、徐々に法人市場に広がりを見せているなどの例がある。
すでにIBMではインスタントメッセンジャーとして「Sametime」を販売しているが、Lotus Connectionsで加わるのは「プロフィール」「コミュニティー」「ブログ」「ドッグ・イア」「アクティビティー」の5つのツール。プロフィールは、各社員の写真や経歴、アクセス先が表示される名刺代わりのページ。コミュニティーは掲示板機能で、例えばIBM社内ではAjaxのコミュニティやIBMを定年退職した人々のコミュニティなどがあるという。ドッグ・イアは、はてなブックマークやdigg.comのようなソーシャルブックマーク。アクティビティーは、特定の目的を共有する人々の間でドキュメントやファイルを束ねて、成果を共有するためのツール。
プロフィールの検索では、名前や所属だけでなく、経歴や資格、能力といったキーワードでも検索が可能で、企業内に潜在している専門知識をもつ人的リソースの活用が可能だ。「知らない人とのコラボレーションが新しいイノベーションを生む。自分が持つスキルセットや専門知識、経験を、個人個人が売り込む時代」(澤田氏)。
実際の企業での導入・活用事例として、米IBMソーシャルコンピューティング担当 副社長 ジェフ・シック(Jeff Schick)氏は、ドイツ銀行の例を挙げる。電子関連企業への大型投資案件があった際、それまで同行は銀行として電子業界の案件での経験がなかったが、6万人以上いる社員の中から電子業界経験者を募り、即座にプロジェクトチームを結成。コラボレーションの効果を発揮できたという。
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