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GoogleのSpreadsheetsは日本人の肌に合わない!?
2007/03/05
先週のアクセスランキング1位は「Google AppsはMicrosoft Officeキラーになるか」。3位と6位にもGoogle Apps関連記事が入っており、読者の強い関心を引いたようだ。
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マイクロソフトは現在、同社のプロジェクト管理ツール「Microsoft Office Project」の普及と啓蒙に熱心だが、そのProject関連イベントの席で同社インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏が言った言葉が印象的だ。いわく、「日本ではExcelを使いこなしてガントチャートっぽいものまで作ってしまうユーザーが多い」。彼らの提言はExcelより専用ソフトのProjectのほうが使い勝手がいいですよ、ということだが、なかなか日本ではProjectの普及が進んでいない。
微妙な罫線の位置を合わせたり、関数やマクロを駆使して凝ったドキュメントを作り上げるというのが日本人の肌に合うのか、どうも日本人はExcelを最も使いこなしている国民らしい。とすると、Google Appsが提供する表計算アプリケーション「Spreadsheets」は、日本のユーザーには受け入れられる気がしない。グラフも描けないし、表プロセッサとしての機能が貧弱だ。最近でこそPDFだが、例えばパソコンメーカーが作るパソコンのスペック表などは、すべて巨大なExcelファイルだったものだ。芸術的なまでに微細な文字を詰め込んだ、そういった表はSpreadsheetsでは作れそうもない。Spreadsheetsは、どちらかといえば営業の数値データをいじったり、確定申告の計算をしたりといった、本来の意味での表計算ユーザーをターゲットにしているようだ。
長らく紙の雑誌編集をしてきた経験からいうと、日本人は決まったスペースに文字や絵をきっちり詰め込むことがとても上手だ。強迫観念に近いほど空白を埋めたり、バランスを整えることが好きだ。欧米の雑誌を見ていると、スカスカに見えてしまう。文章が途中で切れて別ページに飛んでしまっても平気。これは日本の出版界では禁じ手に近いやり方だ。日本人がExcelをレイアウトツールとしても使っている節があるのと、どこか通底したものを感じる。
しかし、そうやってExcelを高度に使いこなすユーザーがいる一方で、「オフィスアプリケーションユーザーの8割は、オフィスの機能の3割しか使っていない」という話もある。日本IBMは、次期Lotus Notes/Domino 8にマイクロソフトオフィスの簡易編集機能を追加した。ヘビーに使い込んでドキュメントを作り込む一握りのユーザーがいて、それを開いて眺め、たまに数字や文字をいじる大勢のユーザーがいるという構図を想定した機能だ。
それならば高機能なオフィスは不要で、だからGoogle Appsに勝機が……、ということにはならないように思う。Spreadsheetsでは、ドキュメントビューワーとしても力不足の感が強いからだ。
ともあれ、Google Appsは、今までのオフィスソフトとは、まったく次元の異なるネットワーク親和性の高さを持っている。ネット越しのコラボレーションが当たり前になりつつある今、身軽で、いちばんいい位置に立っているのは実はGoogle Appsなのかもしれない。
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