ボーランドから分社化したCodeGearが本格稼働

「Delphi for Rubyも出します」、CodeGear副社長

2007/03/06

 昨年11月にボーランドから分社化した米CodeGearは、年明けから矢継ぎ早に製品リリースをアナウンスしている。2月14日には「Jbuilder 2007日本語版」を、2月21日には「Delphi for Win32日本語版」と「Delphi for PHP」を、それぞれ発表した。いよいよCodeGearブランドで本格的に働き始めた同社の今後の展開と戦略について、CodeGear製品戦略担当副社長のマイケル・スウィンデル(Michael Swindell)氏に話を聞いた。

delphi01.jpg CodeGear製品戦略担当副社長のマイケル・スウィンデル氏

 IDE製品を始めとする開発者向け製品を扱うグループとしてボーランドから独立したCodeGearがフォーカスするエリアは3つある。「製品群を3つに分けると、DelphiやC++ Builder、Developer StudioといったRAD製品が1つ。これらは金融、通信、政府機関といった業種で使われており、個人プログラマから小さな開発チームまでをターゲットとしています。それとは別にアジャイル・ツールとしてエンタープライズ向けJavaアプリケーションの開発環境として、Eclipseを始めとするオープンソースを採り入れたJbuilderや、TeamInsightといったツールを提供しています。それから3つ目は、主に組み込み向けデータベースのInterBaseです。InterBaseはデータベース管理者が不要で耐障害性も高いため、例えば日本では医療関係で使われていますし、アメリカでは空港のX線検査機やモトローラの携帯電話の電波塔、軍事関連では戦車にも搭載されています」。CodeGearが開発者にフォーカスする一方、ボーランドはOpen ALM(Application Lifecycle Management)、Borland Together 2006といった開発プロジェクトのマネジメントやアプリケーションのモデリングツールといった上流工程の製品をリリースしている。

 CodeGearは、小回りが利き、現場で必要なアプリケーションを最小限の労力で開発するためのツールを提供する。例えばDelphi 2007 for Win32で想定するユーザーのニーズは、「リッチなユーザーインターフェイス、データベースとのコネクティビティの高さ、ハードウェアへのダイレクトアクセスが可能であること」などで、科学技術研究の実験機器やカスタムハードウェアを使うユーザーだ。こうしたユーザーには「.NETはエンタープライズ向け機能のオーバーヘッドが大きい」ためメリットがないという。Delphi 2007 for Win32ではVistaに対応したほか、新たにAjaxをサポート。高速になった新データベースエンジン“DBX4”と併せ、組織内のWebアプリケーション開発をより強力にサポートする。

スクリプト言語対応製品拡充でRubyもサポート

 Delphi for PHPの発表は、その意外な組み合わせから、多くの開発者を驚かせた。「今や、ほとんど全部といっていいWebサーバにPHPが組み込まれていて、何百万人もの開発者がいます。しかし、開発に使われるのは伝統的なテキストエディタです。PHP開発者にDelphiのようなRADツールを提供するのは意味のあることだと思います。また、PHPを使ったことのないWindows開発者にとっては、Delphi for PHPはWeb開発への道を開くでしょう」。

 Web開発者の間ではライトウェイトのスクリプト言語が人気だが、CodeGearでは今後、PHP以外の言語についても対応製品を拡充していく予定だ。「具体的な製品についての話はまだできませんが、2007年内にもRuby対応製品を出すつもりです。Delphi for Rubyという名前になるかは、まだ分かりませんが。RubyはPHPほど広範には使われていませんが、今後、重要な言語になるポテンシャルがあると見ています。Ruby on Railsについても、われわれはRubyと一体のものとして興味深く見ています。またPythonについても、現在、対応製品を検討中です」。

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(@IT 西村賢)

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