20〜30万円台の高級ブランド確立を目指す

ASUSが世界最初の“サイド・ショウ”ノートを国内発売

2007/03/09

 ASUSTeK Computer(ASUS)は3月9日、日本市場本格進出第2弾となるノートパソコン4機種を発表した。昨年11月にリリースした従来機シリーズのモデルチェンジに加え、新たにSideShow搭載モデル「W5Fe」を追加。液晶ディスプレイのカバー部に小型液晶画面を備え、Windows Vistaから新たにサポートされるSideShowガジェットが動作する。SideShow専用液晶を搭載するノートパソコンの発売は同社によれば世界初という。発売は3月末で市場価格は20万円台前半になると見られる。

asus01.jpg SideShow専用液晶を搭載するASUS W5Fe。3月末発売予定で市場価格は20万台前半になるという
asus02.jpg 液晶ディスプレイの背面は曲線状に少しふくらんでおり、2.8インチQVGA液晶パネルと操作用十字ボタンを備える。液晶の開閉に応じて画面の上下が反転する
asus03.jpg 標準でメディアプレーヤーやメールの機能が利用できる。画面はメールを表示したところ

実際にSideShowガジェットを操作しているところ。やや動画はもたつくが、画面は明るく見やすい

 液晶ディスプレイは12.1インチのWXGA(1280×768ドット)で、背面のSideShow専用ディスプレイは2.8インチQVGA(320×240ドット)。SideShow専用ディスプレイは液晶ディスプレイの開閉に応じて、表示方向を上下反転させる。

 SideShowガジェットとして標準でメール、スケジュール、ミュージックプレーヤ、無線LANの接続状態やバッテリ残量などのシステム情報表示、ソリティアなどのゲームができる(メールとスケジュールの利用にはOutlookが必須)。

 W5FeはOSにWindows Vista Home Premium日本版を採用。主なスペックは、Core2 Duo T5500(1.66GHz)、945GM Express、DDR2-667 1GBのメモリ、80GBのSATAハードディスク、DVDスーパーマルチドライブ搭載。通信機能としてIEEE802.11a/b/g、Bluetooth2.0、100BASE-TXに対応。130万画素の回転可能なウェブカムを液晶上部に備える。3セルの標準バッテリ搭載時の重量は約1.7kg、バッテリ駆動時間は約1.5時間。

20〜30万円台の高級ノートでブランド確立を狙う

 W5Feのほか、伊ランボルギーニ社とコラボレーションし、同社のクルマをイメージしたデザインの「VX2」、液晶パネルの天板全体とパームレスト部に革張りを施し、高級感を追究した「S6Fm」、重量約1kgで液晶パネルの天板をピアノ調塗装で仕上げた薄型の「U1F」も、同時期に発売する。

asus04.jpg ランボルギーニとのコラボレーションモデル「VX2」。パームレストの革張りの縫い目は「本物と同じ」だそうだ。背面の排気ファンが、クルマのアルミホイールになっている。Windows Vista Ultimateを搭載し、メモリは2GB、ハードディスクも160GBと超ハイエンド志向
asus05.jpg 液晶パネルの天板全体とパームレスト部に革張りを施し、高級感を追究した「S6Fm」
asus06.jpg S6Fmの革張りの天板。ブラウンのほか、ピンクやホワイトも検討しているという
asus07.jpg S6Fmのキートップ。すっきりしたデザイン。タッチの感じも良好だ
asus08.jpg 天板をピアノ調塗装で仕上げた薄型の「U1F」
asus09.jpg ASUSジャパン アジアパシフィックセールスグループ セールス&マーケティング部 マネージング・ディレクターのケビン・ドゥー氏

 いずれも高級感を追究したモデルで市場予想価格は20万円以上。ランボルギーニモデルのVX2は40万円前後という高価格帯だ。ASUSジャパンでアジアパシフィックのセールスを担当するケビン・ドゥー(Kevin Du)氏は「現在、日本市場のノートパソコンで20〜30万円の価格帯が占める割合は6%だ。ASUSとしては、この比率を上げていきたい」と語る。

 昨年11月に九十九電機と提携して日本市場に本格参入を果たしたASUSだが、同社は2006年の時点で、すでに全世界で9位のノートパソコンベンダとなっている。秋葉原のショップなど一部をのぞくと、日本での知名度は低く、日本市場では、いまだ知られざる巨人だ。世界のマザーボードの3分の1を作り、2006年の売り上げ実績は1兆7600億円、2007年度の売り上げ目標に2兆6000億円を掲げるなど体力も十分だ。

 他の地域に比べて日本への参入が遅くなったのは、「日本の消費者の高い要求水準を満たすために技術やノウハウを蓄積していたから。日本市場は規模も大きく、重要なマーケットだと見ている」(ドゥー氏)という。NECや富士通、東芝、ソニーといった高品質の製品がひしめく市場に打って出るにも、機は熟したという判断だ。

 少しの時間だが、実際に記者発表会の会場で各モデルに触れてみたところ、いずれのモデルもきわめて質感が良い。ヒンジ部の剛性やキーボードのタッチ、キートップの刻印の品質など、いずれを見ても、日本メーカーの製品に、まったくひけを取らないという印象を受けた。

 当面は東京や大阪の都心部量販店を中心に販売を進める。ブランド確立の方針としてドゥー氏は、「今のところASUSの知名度はほとんどないので、テレビCMや新聞広告などは効果が薄いと考えている。今後2、3年というスパンで考えれば、メディアを使ったマーケティングも十分視野に入る」と話した。

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(@IT 西村賢)

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