3月末にリリースですが……
「Gmail」にあいまいな態度を取る「Thunderbird 2.0」の事情
2007/03/09
Mozilla Foundationの電子メールクライアント「Thunderbird 2.0」の日本語版が3月末に登場する。無償で使えるオープンソースソフトウェアで、高いセキュリティ機能などで人気を集めてきたクライアントソフトウェアだ。Webメールや携帯メールの普及で、メールクライアントは変化が求められている。Mozillaはどう考えているのか。
Thunderbird 2.0のベータ版は1月23日に公開された。主要な新機能はベータ版の試用記事「Thunderbird 2(ベータ2)を試してみた」が詳しい。新機能の中で注目されるのは、Webメールの「Gmail」「.mac」を簡単に読み書きできるようにしたことだ。ポート番号やセキュリティオプションはあらかじめ設定されていて、ユーザー名とパスワードを入力するだけで、利用できる。Webメールがオフラインでも利用できるようになる。
いわば「Thunderbird 2.0がGmailのメールクライアントになった」ともいえるが、Mozillaの心境は複雑なようだ。Mozilla Japanの代表理事 瀧田佐登子氏は「Webメールの存在が大きくなって、メールクライアントのベンダの元気がなくなってきている」と、Webメールの脅威を認める。Webブラウザを使うWebメールが普及すれば、Thunderbird 2.0のようなメールクライアントは不要になる。かといってユーザー数が急増しているWebメールを無視することはできない。Thunderbird 2.0のGmailクライアント化は、メールクライアント開発者の葛藤の産物といえるだろう。
メールクライアントを使わないユーザー
メールクライアントがWebメールに対抗するには、Webメールの読み書きに対応し、同時に「安全な送受信や暗号などWebメールではできないことがメールクライアントにはある」(瀧田氏)と訴えるしかない。特にセキュリティを重視する企業などにはこのメッセージが効くと見ている。
ただ、Webメールに対するメールクライアントの差別化戦略が今後も機能するかは分からない。瀧田氏が指摘したように、一般の電子メールユーザーは、「メールクライアントとWebメールを使う」「Webメールだけ」「携帯メールだけ」と分かれてきている。しかもこれから電子メールを始める人は、Webメールだけ、携帯メールだけで、メールクライアントを使わない可能性もある。メールクライアントは難しい局面に来ているのではないだろうか。
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