顧客の85%がリアルタイムを望んでいる

NCR、リアルタイム性を重視した新コンセプト「AEI」

2007/03/09

 日本NCRは3月9日、記者会見を開催し、米NCR テラデータ事業部 シニアバイスプレジデントのマイク・コーラー(Mike Koehler)氏がテラデータ事業の今後について語った。

コーラー氏写真 米NCR テラデータ事業部 シニアバイスプレジデント マイク・コーラー氏

 コーラー氏は、まず最近の経営状況を説明。米NCRの2006年の売り上げは61億ドルで、テラデータ事業部は15.7億ドルだった。そのほかの事業部は、ATMなどの金融ソリューションが16億ドル、POSなどの流通ソリューションが8億7000万ドル、消耗品などのシステムメディアが4億7200万ドル、マネージドサービスなどのカスタマーサービスが18億ドルだった。この点についてコーラー氏は、「各分野でそれぞれシェア1位を狙えている。今年後半にテラデータ事業部が分社化する予定だが、分社化後もNCR本体はセルフサービスレジやATMなどで業界1位を、テラデータはデータウェアハウス分野で1位を確保していける。これからもそれぞれ成長できるだろう」とコメントした。

 テラデータ事業部単体で見ると、2006年度の売り上げは前年度比6%増の15億7200万ドル。NPOI(Non-pension operating income)は同10%増の3億4000万ドルだった。顧客数は850社、社員数は5000名を超えたという。コーラー氏は「社員はさらに増やしていく予定。今後3年間で30%は増加させたい」と意気込みを語った。投資については、「コンサルタント」「ソリューション」「テクノロジ」「パートナーとの連携」に注力するとした。

 続いてコーラー氏は、新しいコンセプト「Active Enterprise Intelligence(AEI)」を説明した。AEIは、同社がこれまで推進してきたEDW(エンタープライズデータウェアハウス)をさらに進化させ、リアルタイム性を向上させたもの。同氏は、「2006年時点でEDWを導入している企業は15%だが、今後は65%まで増えると予測している。AEIに対するニーズも85%の顧客が『いま以上にリアルタイムな情報が必要』と答えたなど、リアルタイムな情報の需要は大きい」と説明。「すでに先進ユーザーであるウォルマートなどは、AEIを導入している。AEIはEDWのうえで成り立つものなので、EDWの普及より少し遅れるかもしれないが、EDWが普及すればAEIも広がるだろう」と分析した。

 今後のテラデータ事業における投資では、コンサルタントやカスタマーサービス、パートナー連携分野を特に強化するという。日本における投資については、「日本はテラデータにとって2番目に大きな市場なので、当然投資も拡大していく。パートナーソリューションやテクノロジに特に投資していきたい」(コーラー氏)とコメントした。

 続いて、日本NCRでテラデータ事業部を統括しているテラデータ事業本部長の吉川幸彦氏が日本におけるテラデータ事業の詳細を説明した。2006年、国内では既存顧客であるイオンや富士フィルム、三菱東京UFJなどでEDW構築が進展し、100TBを超えるユーザーも現れたという。また、新規顧客として、DCキャッシュワンや東芝、ライフ・コーポレーションなどを獲得。大手コンビニにもコンビニ業界初のDWHを納入した。

 2007年は、IT投資を積極的に行っている金融業界や、SCMや在庫管理で大型DWHへの需要が高まっている製造業界に対して積極的にアプローチしていくとした。さらに、コンサルティング会社やSI企業との協業を通じて大手企業へのテラデータ導入を促進していきたいという。

 AEIについては、「日本は2006年から本格的にEDWの導入を始めたばかりなので、米国に比べてAEIの導入は遅れがちだが、顧客企業にいくとリアルタイムへのニーズはかなり大きいことを感じる。EDWの普及とともにかなりのスピードでAEIが導入されるのではないか」(吉川氏)と分析した。AEIが実現した際の活用例としては、「例えば、ATMを例にすると、『ユーザーがATMの前に立っている間にアクションする』のがAEIだ。ユーザーがATMを操作している数分間の間にDWHからデータを取り出し活用できるのが理想だ。インターネットでいえば、そのWebサイトにいる間に新しい提案をすることがAEIといえるだろう」と説明した。

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(@IT 大津心)

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