まずバックアップ/アーカイブのストレージ製品から
世界的にストレージ旋風を起こしたい、NEC
2007/03/13
「世界的にストレージ旋風を巻き起こしたいという強い思いがある」。NECの執行役員常務 丸山好一氏は3月13日の記者会見でこう語り、今後数年にわたる同社のストレージ戦略を説明した。同社は2007年度上半期から本格的に新世代ストレージ製品攻勢をかけるという。
NECは同社の北米研究所が開発した技術をベースに、今後新世代のストレージ製品群「HYDRAstor」(ハイドラストア)を次々に市場投入していく。最初の製品はバックアップ/アーカイブ用のストレージとして提供。さらに第2弾としてハイエンドNAS(Network Attached Storage)装置、第3弾としてSANストレージを投入する。こうしてバックアップ/アーカイブ分野から1次ストレージ分野へ進出、これを踏まえてさらに広域分散ストレージを実現する。ただし1次ストレージでは高速なランダムアクセス性能の要求されるデータベースなどより、コンテンツ管理のような用途を想定しているようだ。
現在一般的な企業では、1次ストレージ、バックアップストレージ、アーカイブストレージ、災害対策(ディザスタリカバリ)用ストレージなど、用途別に専用機器が用いられている。しかしHYDAstorではこれらをすべて単一のストレージプールに統合することを目指している。これにポリシーベースの管理ツールを適用し、データ格納方法(スナップショット、複製など)、データの保護レベル(暗号化や改ざん防止など)、保存期限といった要件を適用して管理の簡素化を実現するという。
同社としては初めての試みとして新製品をまず北米市場に投入、その後日本国内市場、欧州/アジア市場に展開するという。第1弾製品の米国発売は2007年7〜12月で、その1〜2カ月後に国内市場で発売する。
HYDRAstorシリーズがベースとする同社北米研究所の技術は主に3つ。第1はストレージを接続するだけで自動認識し、詳細な設定を行うことなく容量を拡張できる技術。第2はデータを細かなブロックに分けて相互に比較し、内容が重複するものを1つにまとめてデータ量を減らすことで、事実上ストレージ容量を増加させる技術。さらにデータの冗長コードを工夫することで、3重以上のディスクドライブ障害があった場合でも復元できるようにする技術。このうち第2の技術については米国のベンチャー企業で同様な技術を実装している例があるのは認識しているが、第1、第3の技術についてはNECが大きく優っているか、初めて実現したものだと、同社 コンピュータソフトウェア事業本部長 山元正人氏は説明した。
第1弾製品はこれまで同社がまったく手掛けてこなかったバックアップ/アーカイブ用ハードディスクストレージ装置への取り組みとなる。「まずこの市場でシェア10%を狙う」(丸山氏)。最初にバックアップ/アーカイブ・ストレージ市場の攻略を目指す理由として丸山氏は、この市場セグメントの歴史がまだ浅く、1次ストレージ市場に比べて支配的なベンダが少ないことを挙げた。
「(1次ストレージは)多くの企業ではベンダが決まっている。しかしバックアップストレージであればどこでも入っていける。NECの培ってきた技術で勝負しやすい」という。当面のライバルとしては、米データドメインなどが考えられるという。
なお、この第1弾製品は、暗号化、改ざん防止、レプリケーションを機能として組み込んだものになるという。
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