Office 2007は使いやすいですか?
「Excelで使われる機能トップ10」から考えるユーザビリティ向上
2007/03/14
「日米でユーザーインターフェイスを変えることも議論としてはあった。だが、結果としては日米でほぼ同じになった」。マイクロソフト ディベロップメントのプロダクトプランニング&ユーザーエクスペリエンス グループ ユーザー エクスペリエンス リサーチャーの田中健史氏は3月14日の会見で、「2007 Microsoft Office System」のユーザーインターフェイスを完成させるまでのユーザービリティテストの経緯を公開した。日米ではOfficeの使い方に差があり、日本版OfficeのUIを独自にすることも議論としてはあったという。
Office 2007はOfficeのこれまでのUIを大きく変更し、複数の機能をタブでまとめた「リボン」を採用した。背景には前バージョンのOffice 2003までに機能やコマンドが増え続け、「エンドユーザーが機能を見つけられない」(田中氏)という問題が無視できなくなったため。Word 1.0のコマンドは全体で50だったがWord 2003は1500に増加し、これまでのUIは「限界に来ていた」と判断した。
4段階で行ったOffice 2007の調査
マイクロソフトは米国レドモンドの本社や欧州、インド、日本にソフトウェアの使い勝手を向上させる「ユーザービリティティラボ」がある。日本では東京・調布と東京・代田橋にラボを設けている。ラボではエンドユーザーが参加するソフトウェアの試用テストを行って、開発中の製品の使い勝手を調査している。Office 2007もユーザビリティ向上のプログラムを行って、完成させた。
ユーザービリティのプログラムは日本では4段階で行った。まずは「カスタマー エクスペリエンス向上プログラム」を使ってOffice 2003のユーザーの利用状況を収集し、分析した。カスタマー エクスペリエンス向上プログラムはワールドワイドで1日に180万件の投稿がある。分析したのはどのコマンドがよく使われるかや、一緒に使われることが多いコマンドなど。
分析結果は日米で異なる結果になった。Excel 2003の場合では、日本が「印刷プレビュー」が上位に来ているのに対して、米国では「太字」が上位に来るなどの結果が出た。Excelのコマンド別使用率では日本が全体的に高いなどの結果も分かった。特に日本人がよく使うのは、ふりがな、均等割付など日本特有の機能は当然として、表・罫線、印刷、図形・テキストボックスなどのコマンドだった。この分析結果を受けて、日本では日本人好みのコマンドを中心にユーザービリティテストを行うことになった。
ユーザーの実際の操作を観察
ユーザービリティテストはインターネットで募集したエンドユーザーをラボに呼び、実際にソフトウェアを使っているところを観察する。日本ではOffice 2007の調査で延べ80人が参加した。テストを行う部屋にはPCが置かれたテーブルがあり、ユーザーは指示された操作を実際に行う。ユーザーがどのような手順で操作を行っているかを隣室からカメラなどで観察し、ユーザービリティの問題点を探る。田中氏によると日本のテストの結果、「表ツール」の機能を改善したという。海外のラボではディスプレイ上でのユーザーの視線の移動を調査する「アイ・トラッキング」も行っている。
その後は、エンドユーザーにOffice 2007のベータ版を渡して家庭や職場で1カ月間使ってもらい、フィードバックを得るベータ調査を行った。PowerPointの図形挿入の機能について要望があり、改善したという。
グラフィックス系の機能で生産性が向上
さらにまとめとしてユーザーに同じ作業をOffice 2003と2007で行ってもらい、成功率やかかった時間、主観評価を測定するベンチマーク調査を行った。Office 2003のベンチマークと、Office 2007を初めて使ったときのベンチマーク、1カ月使った後のベンチマークを比較した。
ベンチマーク調査の結果は「Office 2007を1カ月使ったユーザーの生産性はOffice 2003と同様、もしくは上がった」(田中氏)ということ。Office 2007で生産性が向上したのは特にグラフィックス系の機能という。しかし、マイクロソフトが示すグラフを見る限り、Office 2007を使っているにもかかわらず、Office 2003よりも生産性が低くなった作業もあり、新UIになかなか慣れないユーザーの戸惑いも分かる。
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