課題は日本語による情報不足
オープンソースで安価にSOAを実現するJEMS
2007/03/16
JBossといえばオープンソース(OSS)のJ2EE準拠のアプリケーションサーバで、知名度、採用実績ともに伸びているが、JBoss上でSOAを実現するミドルウェア、「JBoss Enterprise Middleware Suite」(JEMS)となると、日本ではまだ認知度が低い。米JBossは2006年6月に米レッドハットに買収されて同社の一部門となった。統合後の2006年12月に米JBossは「JBoss ESB」(Enterprise Service Bus)をリリースした。JBoss ESBは、それまで同社がJEMSプラットフォームとして提供してきたJBoss Hibernate、JBoss Messaging、JBoss Web、JBoss Portal、JBoss Rules、JBoss Business Process Managementなどを接続するコアモジュール。リポジトリと各種サービスの間でプロトコル変換やアドレシングの管理を行う。多くの商用SOAソリューション同様に、BPELなど標準的な記述言語を用いて業務フローの定義も可能だ。
JEMSでSOAを実現するために欠けていたコアのビジネスハブが登場したことで、OSからSOAの基盤を提供するミドルウェアまで、すべてにOSSを使うエンタープライズソリューションが現実のものとなり、採用例も出始めている。大きなところでは、みずほフィナンシャルグループの、みずほインターナショナルがJBossのSOA基盤採用を進めているという。
サポートサービス充実で普及に弾み
JBossユーザーグループのメンバーで野村総合研究所情報技術本部 オープンソリューションセンター 副主任テクニカルエンジニア 梶山隆輔氏
3月16日、オープンソースカンファレンス2007東京で講演したJBossユーザーグループのメンバーで、野村総合研究所情報技術本部の梶山隆輔氏は、OSSでSOAを実現するメリットを3つ挙げた。
1つはコスト。メーカー製のSOAソリューションは、コア製品は安く見えても「このオプション、あのオプションと追加していくとコストが跳ね上がる」(梶山氏)。2つ目はSOAに限った話ではないが、ベンダロックインがないことで「稼働しているシステムのサポートを打ち切られ、ある時バージョンアップしてくださいと言われることがない」(同氏)。OSSでSOAを実現する3つ目のメリットは、ヘテロ環境での相互運用性の高さだ。
逆に、JEMSの課題は「各製品の成熟度に差があること」。例えば、複雑な分岐を含むプロセスのフロー定義に用いるJBoss Rulesは比較的開発から日が浅いために、ほかの製品に比べると改善の余地が大きいという。
また、これまでJBossは欧米中心のビジネスを行ってきたため、日本語による情報提供が不足していることも課題だ。2006年2月には国内のユーザーグループが立ち上がったほか、サイオステクノロジー、野村総合研究所、NEC、HPなどがトレーニングやサポートの提供を予定している。
今後、OSSによるSOAベースのシステム構築が増え、IBMやオラクルに対抗しうる勢力となるのか、動向が注目される。
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