米HPマーケティング担当者に聞く
HPがItaniumをブレードサーバに載せる理由とは
2007/03/23
日本HPは3月中旬、ブレードサーバシステムの「HP Blade System c-Class」用にデュアルコア インテルItanium 2プロセッサを搭載したサーバブレード「BL860c」を販売開始した。
Itaniumが従来のRISCプロセッサに対抗するCPUとして、科学技術計算やミッションクリティカルなアプリケーション用途で用いられ、スケールアウトではなくスケールアップを念頭に設計されたハードウェアで提供されてきたという認識からすると、ブレードサーバへの搭載は意外な感じも受ける。
HPはなぜItaniumをブレードサーバに持ち込むのか。米HP ビジネス口ティカルサーバ ワールドワイドプロダクトマーケティング ディレクター ブライアン・コックス(Brian Cox)氏に聞いた。
まず、BL860cはHP-UX、Linux、Windowsをサポートするが、事実上HP-UXを稼働するプラットフォームとして提供される。「これまでブレードシステムでエンタープライズUNIXを動かすソリューションはなかった。今回の発表の大きな意味の1つはUNIXの世界でメジャーなOSを(ブレードサーバシステムに)持ち込めるということだ。BL860cはWindowsやLinuxも動かせるが、それにはほかのブレードも使える。非常にシリアスなコンピューティングには信頼性の高いOSとミドルウェアが必要だ。当社はWindowsもLinuxも好きだが、これらがHP-UXの域に達するには時間がかかる」。
要するに、これはプロセッサの話というよりも、OSとその上のアプリケーションの話だということになる。コックス氏は、HP-UXの用途が従来のスケールアップ型モデルでカバーできないユーザーニーズが、ローエンドのラックマウントサーバ強化や今回のブレードシステムにおける対応につながっているのだと説明する。カバーできないニーズとは、例えば3階層のアプリケーションシステムを1つにまとめたいといったものだ。
「Superdomeやミッドレンジサーバは多くのメインフレームを代替してきた。しかしお客様には、バックエンドデータベースからアプリケーションまでを共通な環境で管理したいといった意向もある。こうしたユーザーに対する選択肢を提供するのが狙いだ」。
ブレードサーバシステムでは1つのシャーシにさまざまなOSやアプリケーションを走らせるブレードをまとめ上げ、電源、冷却、ネットワーク接続、そしてストレージをこれらブレードが共用することによってシステム構成の柔軟性やコスト効率、管理性を高めることができる。HP Blade System c-Classでは、ネットワーク接続やファイバチャネルSAN接続を仮想化する「Virtual Connect」という機能も備わっており、アプリケーションを短期間に立ち上げることができる利点もあるとコックス氏はいう。
コックス氏は「これまでハイエンドサーバでセルボードによって実現してきた柔軟性を、ローエンドの製品におけるブレードに持ち込み、柔軟性と低コストを実現していく」とも説明する。しかし同氏のいうハイエンドサーバにおける柔軟性がスケールアップ的なものであるのに対し、ブレードサーバシステムにおける柔軟性がスケールアウト的なものであることには変わりがないようだ。ハイエンドサーバにおけるセルボードの組み合わせで可能な仮想化、つまり複数のBL860cブレードで単一のOS環境を構成するようなことは、少なくとも現時点では実現していない。
ブレードサーバシステムの柔軟性は今後、信頼性の強化によってさらに生かすことができるとコックス氏は話す。「最終的に目指すのは“power up once”だ。冷蔵庫のように箱から出して電源を入れればその後オフにすることのないシステム。ハードウェアの故障があったり、メモリやプロセッサを追加したり、ソフトウェアやパッチを入れたりといったすべての作業を停止なしに行えるようにすることを、次世代製品のターゲットとしている」という。
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