米「Yahoo! Research」とも連携、研究者は30〜40人規模を目指す
目指すは「Web 10.0」!? ヤフーが研究所設立
2007/03/26
ヤフーは3月26日、インターネット技術や可能性などを調査・研究する「Yahoo! JAPAN研究所」を4月1日に設立すると発表した。研究所長にはヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏が、最高技術顧問には慶應義塾大学 環境情報学部教授 村井純氏が就任する。
Yahoo! JAPAN研究所は、ヤフーの組織内研究所として設立され、予算規模は「初年度で数億円程度」(井上氏)。設立当初は事務5名、研究員5名の構成でスタートし、「基本的に研究者はこれから新規雇用する。優秀な人間が何人来るかによるが、できれば将来的には30〜40名程度の研究者を雇いたい」(井上氏)とした。
Yahoo! JAPAN研究所独自の研究に加え、米「Yahoo! Research」との共同研究や、産官学連携の研究も視野に入れている。米「Yahoo! Research」へは、技術交流を目的とした短・中期的な研究者派遣も予定しているという。
同所における主な研究テーマは、利用者のニーズと技術的なシーズ(種)の2つの領域とする。利用者のニーズでは、利用者にとってよりよいインターネットの未来像を開拓するための基礎知識形成をミッションとする。技術的なシーズでは、技術の進歩やインターネットのさらなる可能性を創造し、生活必需情報を「誰でも、どこからでも、簡単・安全・確実に」手に入れることができる次世代インターネット技術の研究を行う。
研究活動は主に、「社会インフラとしてのインターネットの発展を模索する“インターネットの今後の予測”」「科学技術の発展への貢献を目指す“基礎研究”」「新規事業分野の開拓や既存事業分野の競争力強化を目的とした“応用・商用研究”」の3つが挙げられた。
具体的には、意味解析や形態素解析などを研究する「自然言語処理」、ヤフーが所有する膨大な量のログを対象とした「情報検索」、Webサイト利用時における利用者の行動・生体分析とサイトデザインを行う「情報デザイン」、有害画像を高速に自動判別する「メディア処理」、インターネットによってもたらされる人々の生活習慣や社会活動への影響を調査する「インターネット生活予測」などが考えられるという。
最高技術顧問に就任した村井教授は、「ヤフーが設立して10年が経った。87年時点で10年後となる97年のインターネット世界を予測することは不可能だったが、97年であればインターネットが普及してきていたので、2007年を予測することは不可能ではなかったと思う。ましてや、いまの時点で10年後を予測することは十分可能だと思う。この研究所ではそういった長期的な予測もしていきたい。また、ヤフーは間違いなく日本で一番インターネットのデータを持っている。これを生かした研究がかなりできるはずだ」と意気込みを語った。
また、井上氏は「いままでの10年間の日本のインターネットの歴史を振り返ると、アメリカのまねが多かった。これからは日本の生活に合わせたインターネットサービスを開発していかなければならない。Web 2.0も米国発だが、Yahoo! JAPAN研究所は『Web 3.0』や『Web 4.0』の発信源にしたい。Mac OSが10まできているのだから、Webサービスも『Web 10.0』くらいまではいくだろう。優秀な研究者に集まってほしいので、『1年間に論文をいくつ出せ』や『特許をいくつ取得しろ』といったことをいうつもりはない」と、同研究所の方針を説明した。
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