特定企業をねらい打ち

最新GPL3ドラフト、特許条項に批判の声

2007/03/30

 GNU GPL3のドラフト第3版リリースに対し、早くも企業から反応が寄せられている。その多くは、特許の扱いに関する変更への批判だ。

 3月28日にFree Software Foundation(FSF)が公開した最新ドラフトは、ライセンス互換性条項を理解しやすく、管理しやすくするための変更を加えた。また前回のドラフトから要件を狭めており、コンシューマー製品にソフトウェアを搭載するメーカーはソースコードとともにソフトウェアのインストール情報を提供しなければならないとされている。

 物議を醸しているマイクロソフトとノベルの提携に対処するための新しい特許要件も追加され、ディストリビュータが特許保有者と共謀して差別的に特許適用を免除することを禁じていると、FSFのライセンスコンプライアンスエンジニア、ブレット・スミス(Brett Smith)氏は言う。

 FSF会長でGPLの中心的な筆者であるリチャード・ストールマン(Richard Stallman)氏は、GPL3はプログラムのユーザー全員が、フリーソフトウェアを規定する4つの基本的な自由を手に入れるようにするために書かれていると語る。

 「最近のマイクロソフトとノベルの特許契約は、これらの自由を損なうことが目的だ。最新ドラフトでは、このような契約がフリーソフトを台無しにすることのないよう防止するために努力した」(同氏)

 マイクロソフトの知財およびライセンス担当副社長ホレーショ・グティエレス(Horacio Gutierrez)氏は、ノベルとの提携が最新GPLドラフトの適用を「免除されて」いることに喜びつつも、このドラフトが今後の同様の契約を防止する目的を持っていることには不満を示した。

 「GPL3の最新ドラフトが、マイクロソフトとノベルが顧客のために築いた関係を引き裂くことはないと指摘しておく。だが、FSFがGPL3を利用して、業界リーダーがこの先顧客の利益のために協力することを防ごうとしていることは残念だ」(同氏)

 ノベルも、SUSE Linux Enterprise、OpenSUSE、そのほかノベルのオープンソース製品に現在および今後にわたりGPL3技術を採用することを禁じる条項が最新ドラフトにないことを、同社顧客にとって朗報だとして歓迎した。

 だが同社は、正式版のリリースまでにこの点が変更される可能性があるという現実を認めている。正式版は早ければ夏にリリースされる見込みだ。「最終版が当社とマイクロソフトの提携に影響する可能性があるのなら、マイクロソフトと協力して対処する」と同社広報担当ブルース・ロウリー(Bruce Lowry)氏は語る。

 同氏はまた、ノベルはマイクロソフトとの提携継続、GPL3でライセンスされるソフトウェアも含め、同社が出荷するソフトウェアのライセンス条項に完全に準拠することに断固コミットしているとも述べた。

 だが、特に厳しい批判はAssociation for Competitive Technology(ACT)からも聞かれた。同団体は、最新ドラフトはオープンソースとプロプライエタリソフトウェア業界間の協力を制限するために作られていると主張した。

 「新しいGPLは米国税法のように見える。もはや自由を規定するものではなく、リチャード・ストールマン氏が気に入らない企業やビジネスモデルを罰するためのものになっている」とACTのエグゼクティブディレクター、モーガン・リード(Morgan Reed)氏は語る。

 ノベル、マイクロソフト、TiVo、ノキア、Linux携帯電話メーカーすべてが標的にされていると同氏は語り、新版GPLは複雑で「法的に押しつぶされたものになってしまい、実質的には知財弁護士の雇用保障だ」と指摘した。

 新しい特許条項は、ソフトウェア特許の保有者に対し、すべての下流ユーザーに免責を提供することを義務付けることで、特許保有者がパートナーの顧客だけに知財関連の免責を提供できないようにすることを目指している。

 「これは基本的に、将来の同様の契約に対するポイズンピルだ」とリード氏は言う。

原文へのリンク

(eWEEK Peter Galli)

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