ほとんどが「提供予定はない」
調査で分かったIPv6のお寒い状況
2007/03/30
IPv6普及・高度化推進協議会が3月30日に公表したIPv6についての調査結果で、IPv6事業のお寒い状況が明らかになった。同協議会は調査から「徐々にIPv6対応が進みつつあることが考えられる」としているが、現状はあまりに寂しい。
調査は複数都道府県エリアをカバーする主要なインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の約200社を対象に調査。3月26日までに22社から回答を得た。そのうち、商用か実験でIPv6接続サービスを行っている、またはサービス提供を予定しているISPは、わずか1社。残りの21社は「提供予定はない」と答えている。
「IPv4の枯渇は心配していない」の回答も
自社がIPv6接続サービスを行わない理由は「情報が不足している」が最多。次いで(IPアドレスの)「現在の割当数で十分」「上位のISPが提供していない」だった。「利用者ニーズがない」や「IPv4の枯渇は心配していない」との答えもあった。同協議会は「現時点ではIPv6接続サービスの提供について様子をみているISPが多い」と推察している。
ただ、通信設備のIPv6対応は一部で進んでいる様子で、22社のうち7社は「一部の機器がIPv6対応」と回答している。「IPv6対応はできていない」は13社。「すべての機器がIPv6対応」は1社。同協議会は「機器の更新などのタイミングにIPv6対応のものを導入した、あるいは最新機種を購入したところIPv6にも対応していたなどの事由によって、徐々にIPv6対応が進みつつある」と分析している。
また、調査対象のISPのうち8社は、「半分以上のISPがIPv6を提供する時期」として「2010〜2011年」を挙げていて、同協議会は「この時期がISPのIPv6対応のピークと想定される」としている。
なぜIPv6接続サービスは広がらないのか。普及のための事業上の課題として22社のうち、10社が挙げるのは「設備更新の手間・コスト」。ユーザーの要望や上位ISPの対応などの強いトリガーがないと、IPv6に本格投資はできないと考えるISPが多いようだ。普及に向けた技術的な課題では「アドレス管理ノウハウ」や「IPv4との共存方法」を挙げるISPが多かった。
大手ISPが先行してサービス提供
同日、総務省もIPv6について、大手ISPや通信会社の調査結果を発表した。一般ユーザー向けにはNTTコミュニケーションズ、NTT東、西日本、ニフティ、フリービット、IIJ mioが商用のIPv6接続サービスを展開。法人向けにはNTTコミュニケーションズ、NTT東、西日本とKDDI、IIJ、NTT-MEがサービスを提供している。この調査もIPv6普及・高度化推進協議会が行った。
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