どのPCでも同じアプリを使いたい
安田女子大がアプリ仮想環境「SoftGrid」を選んだ理由
2007/04/12
広島市に位置する安田女子大学が2007年4月、デスクトップアプリケーションの仮想化ソリューション「Microsoft SoftGrid」を導入した。安田女子大は4月に6年制の薬学部薬学科を開設するなど学内のIT環境が拡大している。安田女子大の施設部 情報システム課 課長 日比野政彦氏は「学内ではいろいろなアプリケーションが使われている。学生には、どこの情報教室でも同じアプリケーションが使えるようにしたかった」と狙いを語る。
「大学のコアは授業の進行」
安田女子大は文学部、現代ビジネス学部、家政学部、薬学部を持ち、短期大学、大学院も擁する。総学生数は3400人を超える。日比野氏は7年前に製造業のシステム担当から安田女子大に転じ、学内ネットワークや情報教室の整備を進めてきた。「大学のコアは授業の進行」といい、授業の質を高めることを目的に柔軟なIT投資ができているという。
安田女子大のIT環境が抱えていた課題は、学内で利用されるアプリケーションが多岐にわたり、4人のシステム課員では管理しきれなかったことだ。1、2年の学生は主に「Microsoft Office」やマルチメディアアプリケーションで情報処理の基本を学ぶ。3、4年になると加えて学部学科別の個別アプリケーションを使う。短期大学の保育科ではイラスト作成のアプリケーションを利用、現代ビジネス学科ではプログラム言語のPerl、文学部心理学科では統計解析の「SPSS」などが使われる。
6教室のPC管理で高負荷
学内には6つの情報教室とCADやマルチメディアの専門教室、スタジオなどがある。学生はいずれかの教室でPCを使った授業を受けるわけだが、すべての教室のすべてのPCに多様なアプリケーションをインストールし、しかもそのバージョン管理をシステム課員が行うのは非常に負荷が大きい。日比野氏はこの問題を解決するソリューションを探していてSoftGridに出会った。
SoftGridはアプリケーション本体とレジストリ情報、DLLファイル、フォント、.iniファイルなどを1つのパッケージにし、PCの環境に関係なくアプリケーションを稼働させられるようにするソフトウェア。クライアントPCには仮想ランタイム環境を導入し、サーバから配信されたパッケージを展開、ローカルPC上でアプリケーションを稼働する。仮想ランタイムがクライアントPCのOSやVBランタイムのバージョンの違いを吸収するので、管理者はコンフリクトを意識せずにアプリケーションを配信できる。
サーバ側でアプリを一元管理
SoftGridではクライアントPCが利用するアプリケーションをサーバ側で一元管理する。アプリケーションのバージョンが上がってもサーバ側の変更だけで済み、クライアントPCには影響しない。安田女子大のように多数のクライアントPCで、多数のアプリケーションを稼働させるIT環境に適したソリューションといえる。
安田女子大は4月から情報教室のクライアントPC80台でSoftGridを利用開始した。仮想化したアプリケーションはMicrosoft OfficeとSPSS。SoftGridは学内のActive Directoryと連携していて、学生は自分のID、パスワードを入力すればいつものアプリケーションが使えるようになる。
「SoftGridに気が付かない」
安田女子大はSoftGrid導入に関してサーバを2台追加。SoftGridライセンス、ハードウェア、サーバOSなどの導入金額は200万円台という。富士通ビジネスシステムが受注し、実際の導入は中国電力グループのエネルギア・コミュニケーションズが行った。技術サポートはソフトバンクBBが提供した。
日比野氏はカットオーバーしたSoftGridについて「すばらしいスピードで何ら違和感はない。学生はSoftGridが動いていることに気が付かないだろう」と評価している。システム更新のタイミングに合わせて、別の情報教室へのSoftGridの展開も検討する。
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