ソーシャルよりも個人向けツールとして充実
Yahoo!ブックマークがリニューアル
2007/04/16
オンラインブックマークとしてのサービス開始は2001年と最古参だが、ソーシャルブックマークが流行するなか後れを取っていた「Yahoo!ブックマーク」が4月16日にリニューアルオープンした。ソーシャルブックマーク的な機能を取り入れつつも、むしろ個人ツールとしてのブックマーク機能の利便性を追求したサービスだ。
個人用ツールとしての使い勝手を追究
オンラインのブックマークサービスには、おもに2種類の利用目的がある。1つは、後で自分が情報にアクセスするための本来の意味でのブックマーク。もう1つは、ブックマークを介してほかのユーザーと交流したり、有用な情報を交換する目的だ。
海外で人気の「digg.com」や「del.icio.us」は、有用なページのブックマークというよりは、そのときどきの話題を皆で追いかけるSNS的な要素が強い。このため、digg.comには日々追加され流されていくブックマークを読むだけのユーザーも多い。趣味や嗜好の似たユーザーが、緩やかなコミュニティを形成している。
一方、日本で人気の「はてなブックマーク」はコメント欄の文字数が100文字と短いこともあり、他のユーザーとの交流という側面は弱く、気になったURLを保存して、後で自分で読むのに利用しているユーザーが多い。
こうした分類でいうと、Yahoo!ブックマークは今回のリニューアルでは、「ソーシャルブックマークとしての面よりも個人ツールとしてのブックマークの使い勝手に焦点を当てたサービス」(米Yahoo プロダクトマネージメント ディレクター サーチ フレッド・デルシー氏)だ。すでにソーシャルブックマークで必要とされる機能の一通り――、タグ、コメント、登録者数表示などの機能は備えているが、「まずは、既存の25万人のYahoo!ブックマークユーザーに使ってもらって、短期間で50万ユーザーの獲得を目指す。ソーシャルブックマークとしての機能は、今後、順次追加していく」(ヤフー 検索事業部 企画部 企画部メインサーチ企画 前川英之氏)。
ブックマークしたページを全文検索
個人ユーザーが使うオンラインブックマークツールとしての最大の特徴は、登録したページが、登録の都度インデクシングされており、後から全文検索できる点だ。通常、ソーシャルブックマークではURLやタイトル、タグでの検索はできるが、HTML本文まで検索できるものは少ない。
「キャッシュ」ボタンを押すことで、明示的にユーザー個別のキャッシュを作成できる点も、ほかのブックマークサービスにない機能だ。キャッシュされるのはHTMLのみで、画像やFlash、PDFは保存されないが、いったんキャッシュしておけば、Webページが書き換わったり、消えてしまっても、同じ情報にアクセスできる。
Yahoo!ツールバーとの連携により利便性も上がっている。ツールバーのブックマークアイコンを押すと、1〜2秒で色が変わり、確認画面なしにダイレクトにブックマークができる。ソーシャルブックマークサービスではデフォルトでタグやコメントの入力を求める画面が出るのが一般的だが、Yahoo!ブックマークではデフォルトではユーザーに何も入力させずに、ローカルのブックマークと同様の登録だけを行う。
フォークソノミーの威力は、個々人がタグやコメントを入力することで発揮されるが、その一方で、個人ツールとしての使い勝手は低下する。「現在でもタグの使い方を理解していないユーザーは多い」(前川氏)からだ。
こうした割り切りはYahoo!ブックマークが「個人ツール」と「ソーシャル」のバランスを同社がどう考えてサービスを設計したかを物語っている。個人向けツールとしての作り込みは徹底しており、例えば視認性を上げるために、登録ブックマークにはWebサイトのサムネイル画像が付くほか、Ajaxを多用したUIが目を引く。複数アイテムを選択してドラッグ&ドロップによるブックマークのフォルダ管理も可能だ。
また、Internet Explorer用、Firefox用のブックマークレットを提供するほか、Yahoo!ブックマークにワンクリックで登録できるアイコンを自分のブログに貼れるブログパーツも用意する。
個人向けの使いやすいオンラインブックマークサービスを目指す一方で、今後はソーシャルブックマークの可能性も追求していく。「例えば似たようなページをブックマークしているユーザーのブックマークを“リコメンド”として提示する機能」(前川氏)の実装などを考えているという。
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