組み込み開発をよりフレキシブルに

μITRON準拠の新リアルタイムOS発表、TOPPERSプロジェクト

2007/04/17

 NPO法人TOPPERSプロジェクトとエーアイコーポレーション、日本アルテラは4月17日、商用の機能分散型リアルタイムOS(RTOS)「TOPERS-Proマルチ/FDMP」を発表した。

 TOPPERS-Proマルチ/FDMPはアルテラのソフトコア・プロセッサ「Nios II」に対応。名古屋大学の高田研究室が中心となって設立した、NPO法人TOPPERSプロジェクトが開発したオープンソースOS「TOPERS/FDMP」をベースに開発した。TOPPERS/FDMPはμITRONベースで開発されたOSで、TOPPERS-Proマルチ/FDMPはμITRON使用向けのソフトウェア資産も活用できる。

 商用化でライセンスを明確にしたことで、技術サポート体制や品質保証を万全にする。オープンソースで懸念される知的財産権侵害のリスクへの対応も行い、従来よりフレキシブルで迅速な開発を可能にする。エーアイコーポレーションの社長 加藤博之氏は、TOPPERS-Proマルチ/FDMPについて「初の商用マルチCPU対応機能分散型リアルタイムOS」と説明した。

toppers01.jpg 左からエーアイコーポレーション代表取締役社長の加藤博之氏、名古屋大学理学博士の高田広章氏、日本アルテラの堀内伸郎氏

 TOPPERS-Proマルチ/FDMPが対応するNios IIの利点は、ソフトコア仕様によりワンチップで機能拡張が実現できること。従来はCPUに複数のデバイスを付けることで機能拡張を行っていた。しかし万が一、そのうちの1つのデバイスでも生産中止となった場合には、機能拡張が難しくなってしまう。対して、Nios IIではSystem-on-a-Programmable Chip(SOPC)ソリューションを採用しているために、そのような懸念は無くなる、と日本アルテラの堀内伸郎氏は述べた。

 TOPPERSプロジェクトは、車載通信 CAN/LIN通信ミドルウェアのオープンソース化を名古屋年産業振興公社と行う。また、ヴィッツ、アイシン精機、東海理化電機製作所、アイシン・コムクルーズと協力してメモリ保護機能OSの実証実験なども行い、制御系の安全性向上に努めていく。

 エレベーターのセンサ欠陥や湯沸かし器の欠陥、すなわち製品の制御系エラーによる死亡事故がニュースなどで話題になるなど、製品の安全性への関心が高まってきている。その現状を踏まえての実証実験という。

 TOPPERSプロジェクト 会長の高田広章氏は「組み込み技術者の人不足は年々深刻化している」と語る。組み込み開発の効率化を図ることで、開発現場にかかるストレスを少なくし、かつ新人技術者の教育にも力を注力する方針だ。

(@IT 小林由美)

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