米シスコのセキュリティ戦略
セキュリティなら専業ベンダよりもシスコなの?
2007/04/26
1995年を皮切りに、米シスコシステムズは20社のセキュリティベンダを買収してきた。最近ではWeb/電子メールセキュリティベンダのIronPortを買ったばかり。ファイアウォール、IDS、VPN、DDoS、NAC、SSL、アクセス・コントロールなど同社が擁するセキュリティ技術とその製品群は、セキュリティ専業ベンダと肩を並べるほどの充実度を誇っている。
ネットワーク機器ベンダとして出発した同社と、セキュリティ専業ベンダの違いはどこにあるのだろうか。米シスコシステムズ 副社長 兼 最高技術責任者(CTO) セキュリティ テクノロジー グループ担当 ボブ・グライコーフ(Bob Gleichauf)氏は、「セキュリティ専業ベンダは、ファイアウォールならファイアウォールといったシングルポイントでの対応が主だ」と話す。シスコのセキュリティ戦略は、あくまでもネットワークを基盤にした広い範囲での安全性の向上を目指す。それゆえ、さまざまな種類のセキュリティ技術を買収によって取得する必要があった。彼らがセキュリティ専業ベンダではなく、ネットワーク機器ベンダである所以(ゆえん)である。
現在、同社のセキュリティ戦略は、ネットワーク上の安全性を確保することに主眼が置かれている。脅威への対応や、堅ろうなコミュニケーション基盤を確保するために、同社のセキュリティ技術が生きてきた。グライコーフ氏はシスコの次世代のセキュリティ戦略として、情報セキュリティの領域にまで拡張することを明らかにした。コンテンツやアプリケーションのセキュリティなど、ネットワークのセキュリティ・ポリシーを設定することでネットワークおよびネットワーク内を流通する情報の安全性を高める「自己防衛型ネットワーク」を構築できるようにする。
2006年8月に米IBMはセキュリティ専業ベンダのInternet Security Systems(ISS)を買収し、セキュリティ分野へ進出する意思を示した。「企業のIT部門はシンプルでコスト効率のよいソリューションを求める」とグライコーフ氏はいう。企業にとって重要なのは“セキュリティ”ではなく、自社の事業の健全な成長である。その過程でネットワークや情報システムのセキュリティに関心が寄せられるとグライコーフ氏はいい、シスコのセキュリティ戦略もIBMと同じ方向を向いていることを示唆した。
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