1コンテナ約5000万円

コンテナに格納した小さなデータセンター「Project Blackbox」に入ってみた

2007/05/10

 物理的なコンテナを、まるまる1つデータセンターにしてしまうサン・マイクロシステムズの「Project Blackbox」の中に入ってみた。約15平方メートルの設置面積に250台のサーバを詰め込むことができるという高い集積度を持つ、世界初の「移動できるデータセンター」だ。先行事例として、すでにスタンフォード線形加速器研究所が導入を決定しているほか、今夏にも一般向け出荷を始める。

blackbox01.jpg 標準的なサイズのコンテナを丸ごと1つデータセンターにした「Project Blackbox」
blackbox02.jpg 中はヒト1人が通れる狭い通路を挟んで左右にラックが配置されている。天井をケーブル類がはい回る。通常のワークロードでノイズは60dB程度と案外静かで外部から騒音が聞こえるほどではない

 Project Blackboxは、海路や陸路といった輸送で標準的に使われているサイズのコンテナを、その外形を変更することなく中にデータセンターを構築した、一風変わったプロダクトだ。コンテナのサイズは世界的にISO規格で統一されているため、既存のコンテナ運搬、ハンドリングのインフラがそのまま使えることがメリットの1つ(ただし、日本国内では独自の小さなコンテナも使われている)。担当者によれば、新規にデータセンターを構築するとなると平均的には1年から3年かかるところ、Project Blackboxなら90日程度でデプロイできるとしている。オリンピックなどの期限付きイベントで、現場に一時的なデータセンターを設置するケースには、こうした設置・撤去の容易さも大きなアドバンテージとなる。

 過酷な気候条件には対応しないが、一般的な気候であれば問題なく使えるため、ビルの地下など屋内の設置以外にも、ビルの屋上や野外など屋外の設置も可能だ。

blackbox03.jpg 外部との接続は給水口、排水口、ネットワークインターフェイス、電源など。ネットワークインターフェイスや電源はローカライズに対応する

 ギッチリ詰め込んだ8本の19インチラックに、最大250台のサーバ、もしくは1.5PBのストレージを搭載できる。8本のラック間には冷却用の「ヒートエクスチェンジャー」が設置されており、コンテナの前面から背面に向かって吸気ファンによって作られる空気の流れで冷却する。ヒートエクスチェンジャーは、水冷パイプと接続されており、コンテナの外部から冷水を入れて温水を排出する。冷却用の水を循環させるためにコンテナの外部に設置するディーゼルエンジン付きの水冷ユニットが利用できる。

 高い冷却能力と集積度により、1ラック当たり25キロワットの電源供給が可能だという。これは、一般的なデータセンターの3〜5倍の効率で、都市部に設置されることの多いデータセンターの施設面積削減の効果が期待できる。

 料金体系は、買い取り、リース、レンタルなど現在さまざまモデルを検討中だが、買い取りの場合の想定価格は5000万円前後で、今夏に出荷予定という。また、通常のデータセンター同様に内部に設置するハードウェアやソフトウェアとしてサン以外のプロダクトを選択することもできる。

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(@IT 西村賢)

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