アクセス基盤の普及で進展
動画共有サービスが「光の需要を喚起」、NTTがちょっと期待
2007/05/11
NTT持株は5月11日、2006年度の連結決算を発表した。営業収益は前年度比0.2%増の10兆7606億円となったものの、営業利益は7%減の1兆1070億円で、「一言でいえば増収減益」(NTTの代表取締役社長 和田紀夫氏)。和田氏は2006年度に実験を始めた次世代ネットワーク(NGN)と、ユーザーが急増している動画共有サービスの普及を今後の成長の足がかりにする考えを示した。
減益になったのは光ファイバサービスのBフレッツの拡販費用の増大や、携帯電話のナンバーポータビリティ制度で「劣勢を挽回するためにかなり費用をかけた」ことが要因。和田氏は「音声収入の減少をIP収入でカバーするには至っていない」と話した。2007年度は減収と微増益を見込む。
2007年度もNTTにとって「固定系、移動とも厳しい」(和田氏)というのは変わらないが、2007年3月末でBフレッツが608万契約、NTTドコモのFOMAの契約比率が67.5%まで高まってきたのは朗報。Bフレッツは2008年3月末で947万契約、FOMA契約比率は82.4%を見込んでいて、和田氏は「アクセスとしてのブロードバンドが完成した」と指摘した。NGNを展開するうえでの基盤が整ったとの認識で、和田氏は「ブロードバンドとNGNを組み合わせて映像系や上位レイヤのサービスを展開していきたい」と述べた。
NTTはYouTubeに代表される動画共有サービスの普及も光ファイバサービスを押し上げると期待している。和田氏は「動画共有サービスが国内外で出てきている。IPでスポーツ番組を提供する流れも出てきている」として「光サービスの需要が喚起されるだろう」と話した。和田氏はBフレッツの成長について2007年2月の会見で、「月別に見ていくと分かるが、急速な右肩上がりで伸びていたのが少し寝てきたということで、頭打ちの傾向が出ているのではないかという懸念もある」と述べていた。しかし、5月11日の会見では「踊り場にきているというのはやめる。(Bフレッツは)ますます展開を早める。2010年の3000万契約の旗は降ろさない」と強調した。
新社長に副社長の三浦氏
NTT持株は5月11日、和田氏の後任に現・代表取締役副社長の三浦惺氏を当てる人事を発表した。和田氏は会長に就く。正式決定は6月の株主総会。三浦氏は「情報通信の市場は変化が激しく、グローバルに動いている。動きに的確に対応しながら、NGNを含めて経営戦略を着実に実行するのが私の使命」と抱負を述べた。
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