「PatchService」「Antwave」
IPAスーパークリエータに15人認定、うち2人がじっくり説明
2007/05/15
情報処理推進機構(IPA)は5月15日、2006年上期の「未踏ソフトウェア創造事業」で採択した52件のプロジェクトの中から、15人の「天才プログラマー/スーパークリエータ」を認定したと発表した。未踏からは9人、未踏ユースからは6人を認定。認定者の詳細はIPAがWebサイトで紹介している。
15日のIPAの説明会ではWebベースの技術を使った2人のスーパークリエータが開発成果を発表した。京都大学大学院の情報学研究科 社会情報学専攻 修士課程2回生の松村郁生氏が未踏プロジェクトで開発したのは、「End-user Initiated Light-weight Semantic Web Services Platform」。異なるシステムやビジネスプロセスを統合する仕組みとして使われだしているXML Webサービスをコンシューマ向けに展開する技術で、「Webサービスをユーザーの手で生成させる」(松村氏)という。サービス名は「PatchService」。
具体的にはURLやWeb API、KML、検索結果などをソースにし、これらのソースを処理するモジュールである「パッチ」を複数組み合わせてサービスを生成する。複数のパッチを組み合わせてワークフローを構築できるモデリングツール「パッチワーク」を用意していて、エンドユーザーでも自分が必要なサービスを開発できるようになっている。Webベースのサービス実行基盤もあり、作成したサービスを試せる。現在はアルファ版で、6月末までにベータ版を公開予定。米ヤフーは同様にモジュールを組み合わせてサービスを開発できる「Yahoo! Pipes」を展開しているが、Yahoo! PipesはRSSフィードを対象としたサービス。PatchServiceはXML Webサービス全般とカバーエリアが広い。
“ケモノ道”をたどれるWebブラウザ
もう1つは、未踏ユースからスーパークリエータに選ばれた津山工業高等専門学校 電子情報システム工学専攻2年の井上恭輔氏が開発した「ブラウジングコミュニケータ『Antwave』」。Antwaveは「自分以外の誰かと協調することが目標」(井上氏)のWebブラウザ。Webブラウザ右下の「エクストラリンク」には、現在見ているWebサイトを中心に、そのサイトの次に訪れることが多いWebサイトが線の太さで分かるようになっている。ほかのユーザーのページ遷移を解析した統計リンク情報を基にしていて、井上氏は「インターネット上のケモノ道」と表現した。ユーザーは自分の判断でなく、このエクストラリンクによって「人の流れに身を任せる新しいナビゲーション」(井上氏)を体験できる。
Antwaveには、自分のWebブラウザとほかのユーザーのWebブラウザを同期させられる「あいのりブラウザ」機能もある。同期するのは表示ページ、文字サイズ、デザイン、スクロールサイズ。16ユーザーまで同期させることができる。画面内にマウスで文字やイラストを書き込んだり、定型のスタンプを押す機能、「ニコニコ動画のように」(井上氏)コメントを付ける機能もある。AntwaveはPtoPの仕組みを使っていて、今後の開発の課題の1つはユーザーが増えた場合のスケールのさせ方という。
15人のスーパークリエータには6月28日に都内で開催されるIPAのイベント「IPAX 2007」で認定証が授与される。
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