リアルコムがインキュベーションを開始
「グーグルゾン超える日本発起業家をシリコンバレーで育てる」
2007/05/15
「“○○ラボ”、“○○シリコンバレー”、“優秀エンジニア発掘”と銘打った活動は公共、民間両レベルで活発に行われているが、個人的な、ビジネスマンとしての私の意見では、いまだ本当に世界を変える技術は出てきていない」(リアルコム 代表取締役社長 CEO 谷本肇氏)。それは、ソフトウェアやインターネットの分野でいちばん活発にイノベーションが起こり続けている場所、シリコンバレーで“世界”を肌で感じていないからではないか。
そうした問題意識から、自身もベンチャー企業であるリアルコムが、日本のソフトウェアエンジニアを募り、シリコンバレーでの起業を援助するインキュベーション事業を始める。同社は5月15日付けでREALCOM Software Innovation Laboratory(RSIL)を設立。すでに社内ベンチャープロジェクトの開発担当者を含む3人を派遣しており、今後、国内での公募により選出したエンジニアがRSILを拠点に活動する支援を行う。
「ビザの取得、法人の設立、生活基盤の確立など、渡米にともなって必要となる諸々の作業だけで1年ぐらいかかってしまう。RSILでは、最初から技術開発や事業開発に集中できる環境を提供する」(谷本氏)。
RSIL応募者の選考基準は、第一に「世界を変えることにつながる技術」の提案であること。既存の技術の改良ではなく、YouTubeやGoogleといった人々の生活を変えるインパクトを持つアイデアを募る。「年齢や語学力は問わない。候補者のチャレンジに対するコミットメントが高いことのほうが重要」(谷本氏)。
アイデアが採用された場合、シリコンバレーのRSILに在籍し、1年以内に会社を設立できるまで技術とビジネスプランを作る。会社設立のレベルに達しなかった場合、そのプロジェクトは終了する。ただし、その場合でもセーフティネットとしてリアルコムでの継続雇用を選択肢として保障する。
成功者が大金持ちになれるエコシステムを作る
RSILはコアメンバーとして、リアルコムのCEOとCTOの2人のほか、シリコンバレーでエレクトロニック・アーツの創業経験を持ち、インキュベーターとして活動している米NetService Ventures Group(NSVG)のリチャード・メルモン(Richard Melmon)氏の3名で構成する。NSVGおよびメルモン氏は、長年の経験を生かしてテクノロジービジョンの構築、シリコンバレーの人脈との橋渡しなどを行う。現地のベンチャーキャピタリストからの資金援助を受けるに当たってのプレゼンテーションなどについても、必ずしも技術開発を行う本人が行う必要はなく、現地のマーケティング担当者などとチームを組むことを想定しているという。
すでにRSILの第1弾、またリアルコムの社内ベンチャーとして“SocialFeed”がシリコンバレーを拠点に活動を始めている。SocialFeedは、ユーザーのアクションによるユーザーのクラスター化機能やリコメンド機能を持つ、ソーシャルなRSSリーダー。2006年12月からクローズドベータを行っているSocialFeedは、日米ユーザーが混在しているという。「例えばシリコンバレーでインサイダーの集まる場所に行くと、優秀なフリーの技術者が向こうから近づいてきたりする。それでデータベースのチューニングを外注で受けてくれたりする。そういう環境もシリコンバレーならでは」(リアルコム取締役 CTO 竹内克志氏)
募集人員は年に2、3人。今後はリアルコム自体の会社規模の成長に合わせて年に5、6人に増える可能性もあるという。リアルコムとしては、低コストで研究開発部隊を持つというメリットと、IPOや企業買収などによるキャピタルゲインを見込むが、そうした場合にも「成功者が大金持ちになれるエコシステムを作り、10年で50人の成功者を生み出す」(谷本氏)としている。
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