オラクルと日立がグリッド環境構築
100万ユーザー対応Webシステム、サーバ構成の最適解は
2007/05/28
日本オラクルと日立製作所は5月28日、オラクルが中心となって進めているグリッド環境の検証プロジェクトの検証結果の1つを公表した。大規模Webシステムのインフラ基盤に必要な拡張性と可用性を検証する内容で、オラクルは「日立のハードウェアとオラクルのソフトウェアが高い可用性を実現することが分かった」としている。
日本オラクルは国内14社と組んでグリッド環境を実証する10のプロジェクトを検証施設「Oracle GRID Center」で進めている。日立とはBCM(business continuity management:事業継続管理)をテーマに、大規模なWebシステム向けのグリッド環境のベストプラクティスを検証した。主に検証したのは性能と可用性の両方を高めるシステム構成。一般的に性能を高めるとシステムの負荷が高まり、可用性は低下する。逆に可用性を高めすぎると性能が発揮されないことになる。両社はトレードオフの関係にある性能と可用性をともに実現するベストプラクティスを探った。
検証で用いたシステムは「Oracle Database 10g」「Oracle Real Application Clusters 10g」を導入した日立のブレードサーバ「BladeSymphony BS1000」(Itanium 2、Red Hat Enterprise Linux AS 4)と、「Oracle Application Server 10g」をインストールした「BladeSymphony BS320」(Xeon、Red Hat Enterprise Linux ES 4)。それぞれ8ノードで構成した。ストレージ、ネットワークスイッチも組み込んだ。
Webショップのサンプルアプリを使用
検証アプリケーションにはSpring Frameworkのサンプルアプリケーションで、Webショッピングサイトを想定した「JPetStore」を使った。100万ユーザー、16億件の商品を設定し、ブレードサーバ1ノード当たり700の同時接続ユーザーがいるように負荷をかけた。データベースサーバ、アプリケーションサーバは各8ノードなので、システム全体の同時接続ユーザーは5600。
データベースサーバ、アプリケーションサーバをそれぞれ1ノードから8ノードまで拡張した検証では、ノードの増加にほぼ比例して性能が向上することが分かった。1ノードを1にした場合、8ノードでは7.88倍の性能になった。日本オラクルのシステム製品統括本部 Grid Computing技術部 Grid Solutionグループ エンジニアの中村智武氏は「高い性能を実現する日立のハードウェア、オラクルのソフトウェアを組み合わせることで、より高い性能を達成した」と話した。
もう1つの検証はHTTPセッションの状態をレプリケーションするOracle Application Server Clusterの機能を使用。あるセッション処理でアプリケーションサーバに障害が起きた際に、レプリケーション先のアプリケーションサーバにフェイルオーバーし、セッションを引き継ぐ機能を実証した。
ブレードサーバを1〜8ノードまで拡張し、レプリケーションを使う場合と、使わない場合の性能を比較した。レプリケーションを使うと、一般的に性能は低下するが、検証ではレプリケーションを使わない場合と比べて「オーバーヘッドは(レプリケーションを使わない場合と比較して)1割程度。レプリケーションをしていてもきちんとスケールすることが分かった」(中村氏)という。中村氏は「性能と可用性の両立を実現できた」と話した。
中村氏は今回の検証の成果について「これまで顧客側が行っていたグリッド環境の検証をベンダ側があらかじめ行うことで、顧客は検証のためのコストを下げられる」と話した。検証結果はWebサイト(PDF)で公開する。両社は今後、グリッドにおけるストレージ環境について検証を行う。
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