住友信託銀行がニューヨーク支店とロンドン支店で活用
ベリングポイント、海外拠点での日本版SOX法支援サービス開始
2007/05/29
ベリングポイントは5月29日、日本のグローバル企業の海外現地法人における日本版SOX法対応をサポートする「グローバル内部統制改革支援サービス」の提供を開始した。ベリングポイントの日本法人だけでなく、欧米・アジアに専門のコンサルタントを配置し、現地語による文書化などをサポートする。
ベリングポイントは、現在約70社の内部統制に関するコンサルティングを行っており、それらの企業の多くが第1段階の「方針策定」を終え、その後の「文書化」や「整備状況の評価」「運用状況の評価」の段階に入っているという。しかし、文書化の段階に入り、グローバルにビジネスを展開している多くの企業が、海外現地法人における日本版SOX法対応で苦労しているとした。ベリングポイント 代表取締役社長 内田士郎氏は、「日本企業の海外現地法人は1万5812社に上り、売上高は前年比13.5%増の185兆円で過去最高を記録する巨大市場だ。これらのすべての法人が日本版SOX法対応になるわけではないが、市場としては魅力的だ」とコメントした。
グローバル企業の海外現地法人では、大きく分けて「プロジェクト管理」「人材確保」「異なる商習慣・言語」「日本版SOX法への理解」の4つの課題に直面しているという。ベリングポイントではこの問題を解決すべく、日本だけでなく同社の海外法人メンバーも巻き込んで、グローバル企業の海外拠点における日本版SOX法対応作業のサポートを行う「グローバル内部統制改革支援サービス」を開始する。
プロジェクト管理では、グローバル共通のテンプレートの展開やプロジェクトマネジメント方法論などを提供する。人材確保では、米国30人、アジア30人、欧州30人の財務会計専門家によるサポート体制を提供。異なる商習慣や言語への対応では、ベリングポイントの現地スタッフが翻訳なしでレビューするなど、主要言語によるサポートを実施。日本版SOX法への理解の点については、すでに70社でコンサルティングを行った実績から、トレーニング手法を確立し、それらのノウハウを提供するとした。
実際にグローバル内部統制改革支援サービスを提供した事例として、住友信託銀行のケースを紹介。住友信託銀行は、日本版SOX法対応を2005年から開始。中でも海外の重要拠点であるニューヨーク支店とロンドン支店の文書化が課題になっていた。ベリングポイントは、プロジェクト開始当初の計画策定段階から参画し、文書化から有効性の評価までの一貫したコンサルティングサービスを提供した。
住友信託銀行の課題は、日本と海外の成果物における整合性の不安といった「成果物の品質」、海外支店は少数で運営しているために支店内から文書化要員を確保できない「リソース不足」、著作権や秘密保持の問題からくる「契約上の問題」の3つがあった。それらの問題をクリアするため、ベリングポイントでは、まず日本語の分かるコンサルタントが日本へ出張し、日本版SOX法のポイントを理解。続いてニューヨーク事務所で現地スタッフをアサインして文書化を開始。ニューヨーク支店の成果物を基にロンドン支店の文書化作業を行うことでこれらの問題をクリアしたという。
ベリングポイント マネージングディレクター 足立晋氏は、「文書化作業にしても、将来、住友信託銀行の現地スタッフが読むことを考えると、“日本人の英語による文書化”では駄目で、“現地スタッフの英語による文書化”が必要だ。さらにそれを翻訳しないで原文でチェックできる体制も必要だ」と説明した。
グローバル内部統制改革支援サービスは、海外1拠点における文書化作業だけの場合で1000万円から。ただし、拠点が欧米の場合は比較的高価になり、中国の場合は安価になるなど、地域によっても変動する。内田氏は、「1年間で30社24億円の売り上げを目指す。従って、1社当たりのコストは1億円程度を見込んでいる」と目標や平均コストを説明した。また、どのレベルの海外拠点が日本版SOX法の対象になるかについては、「この点は非常に難しい。『どれだけの規模の子会社がいるか』などによる。当社の70社の顧客の場合、約2割の顧客は海外支社などの日本版SOX法対応が必須といえる規模となっている」(足立氏)と説明した。
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