自動的な相関分析で障害の根本原因を特定
EMCジャパン、インフラ管理ツール市場に参入
2007/05/31
EMCジャパンは5月31日、ネットワークからアプリケーションまでをカバーする情報インフラ管理ソフトウェア「EMC Smarts」の国内投入を発表した。情報インフラ製品ベンダとして自社を位置付け、ソフトウェア製品の展開を活発化させている同社だが、ITインフラ全般を管理する製品の投入は新たな取り組みとなる。しかし、「SLA(Service Level Agreement)の基盤を作ってくれる製品」(同社 執行役員 事業開発室長 藤生徹氏)として、通信事業者や企業に広く導入を働きかけて行きたい考え。まずは国内200社における導入とEMCの国内ソフトウェア売り上げの20%達成を目標にするという。
EMC Smartsは、基本的にはSNMPベースの監視システムで、障害の切り分けを迅速化することに焦点を当てている。ネットワーク機器などの構成をまず自動的に取得。さらに各管理対象からSNMP MIB情報を取得し、IPサブネット、VLAN、OSPF、MPLSなど、幅広いレイヤでトポロジーを構成し、各管理対象の詳細な情報とともに表示する。
その後管理対象に対し、デフォルトでは4分に1回の頻度でpingを発行、死活監視を行う。障害切り分けで威力を発揮する同製品最大の売りは、「Codebook Correlation Technology」という技術。これは通常考えられる障害原因と結果の相関関係に基づいて、検出された障害情報から根本原因を特定できるというもの。一般的な監視ツールでは、多数のアラートで監視画面が埋めつくされてしまうことがあるが、Smartsでは根本原因を示す一方、結果として発生した近似的な事象をまとめて表示できる。監視ツールのなかには、ポリシーを手で書くことによって相関分析を適用し、根本原因の特定を助けることを目指す製品もあるが、Smartsではこのプロセスを完全に自動化していることが特徴という。
SNMP管理では、サーバ・ハードウェアの死活監視やOSレベルの情報取得しかできない。そこでEMCは別途買収したnLayersの製品をSmartsのソリューションに組み込んだ。「EMC Smarts Application Discovery Manager」(Smarts ADM)と名付けられたこのオプションモジュールはアプライアンス形態で提供。アプリケーションレベルの監視ツールでよく見られるtelnetなどを使った情報取得に加え、スイッチのミラーポートからのパケット解析により、サーバ上で動作するプロセス間の依存関係を検知する。アプリケーションレベルの障害切り分けは、Smarts ADMからプロセス・トポロジー情報を受け取ったSmartsのアプリケーション監視モジュールが、プロセスレベルでの死活監視を実行する。
Smarts ADMでは今後、それ自体がネットワーク上を流れるパケットに見られるアノマリー(異常な状態)を検知する機能の搭載を進めていくという。
ネットワーク関連の機能が充実しているところから、通信事業者用の製品と思われがちだが、同社 グローバル・サービス統括本部 テクノロジー・インプリメンテーション・サービス本部 シニア・テクノロジー・コンサルタントの鈴木聖氏によると、Smarts ADMがサーバ上のプロセス間の依存関係を自動的に表示する機能が特に一般企業に歓迎されており、引き合いも多いという。
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