ブログ記事だけでなくWebページ管理機能を追加
3年ぶりでMovable Typeがメジャーバージョンアップ
2007/06/05
シックス・アパートは6月5日、最新版のブログソフトウェア「Movable Type 4 日本語版」を7月18日にリリースすると発表した。2004年7月に日本語版バージョン3.0をリリースして以来、約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。同日、リリースに先立って公開ベータテストを開始した。
ライセンス体系が変更になった。ビジネス向けの基本ライセンスパックは1サーバ、5ユーザーのライセンスを含み5万2500円。追加ライセンスは5ユーザーで4万2000円、10ユーザーで7万3500円。また、1サーバ、5ユーザー利用時のバージョンアップ料は2万1000円。個人ライセンスは従来通り無償で提供する。また、企業向けの新バージョンは2007年秋頃に出荷する予定。新たに数万ユーザーにも対応するほか、Oracle、Microsoft SQLへの対応、LDAP認証連携などが可能になるという。
拡張機能の“パック”で用途別カスタマイズが容易に
新バージョンではソフトウェア構成が大きく変更された。ブログの活用が個人的なものから、コミュニティや企業へと広がり、企業でのブログ活用も、広報活動にとどまらず、マーケティング、コミュニティ、EC、社内ブログと用途が広がっていることを受けて、コア部分と拡張部分を切り分け、用途別のカスタマイズを容易にした。拡張部分は、これまでプラグインとして提供されていた機能を複数まとめた“パック”と呼ばれるセットで提供される。現在のところ、コミュニティ向けのパックとエンタープライズパックの秋以降の提供が決まっている。これまで「Movable Type Enterprise」の製品名で提供されてきた企業向けバージョンは、エンタープライズ向けのパックとして提供する予定。
このほかパックによる拡張機能として、企業内でビジネスフロー管理向けのものが検討されている。また現在、約250社がMovable Typeを使った構築ソリューションを提供しているが、そうしたサードパーティからのソリューションとして、パックの提供もあり得るという。
企業向けソリューションとして多様なニーズに対応する一方、シックス・アパートはブログにSNS的な認証機能を持ち込んだブログサービス「VOX」や、ブログコミュニティの「LiveJournal」など、個人向けサービスを運営している。企業向けと個人向けにソフトウェアおよびサービスを提供するシックス・アパートの戦略について代表取締役の関信浩氏は「ブログ専業で、個人も法人も両方やることでシナジーがある。個人向けでは使いやすさや新しい機能の追求ができ、企業向けでは安定性やスケーラビリティの確保ができ、この2つが好循環のループとなる」と話す。今回のバージョンからは、VOXで提供してきたWYSIWYG編集機能や、LiveJournalで提供していたオープンな認証プロトコル「OpenID」にも対応する。
ウェブ構築・運用機能を強化
また今回のバージョンで大きく変わったのは、これまで同様にブログツールとしてエントリ(記事)の投稿と編集機能を提供するのに加えて、Webサイトの静的なページの編集、管理機能が追加された点だ。ブログ同様にWYSIWYGによる編集や共通のデザインテンプレートの利用、MTタグの利用などが可能だ。
「ブログの利用拡大で簡単に記事やコンテンツを書き込みたい、サイトを一元管理したいといったニーズが増えてきた」(関氏)ため、Webマスターに頼らずに、企業内にいる担当者が直接Webページを更新できるCMSツールとしての機能を強化した形だ。
また、コメント投稿者向けの登録・認証機能を新たに用意し、ユーザーを限定したコミュニティの運用もサポートした。コメント投稿者を認証するだけでなく、登録したユーザーの権限を変更し、新たにブログへの投稿を可能にした。
Ajaxを用いた新UI
ユーザーインターフェイスも新たにAjaxベースのものに刷新した。「PCのソフトのような、シンプルで分かりやすい操作感」(製品企画担当 執行役員 金子順氏)を目指したといい、ファイルのアップロードやコメント返信は、サーバからのレスポンスを待たないAjaxベースのインターフェイスになった。コメントは、複数ブログをまたいで「過去7日間以内」といった検索もできる。
テキストの自動保存機能も付き、Webブラウザのクラッシュや、ページ切り替えで入力したテキストが消える事故が防げるようになった。また、ワープロのようなWYSIWYG編集画面を採用。写真の貼り付けや文字装飾、レイアウトが手軽にできるようになった。
現在、Movable Typeの国内ユーザーは「個人が約50万人、企業が数万社規模」(関氏)。今後の見通しとして「今回のバージョンが出たことで普及は若干加速するのではないかと考えている」という。
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